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日本語の手ざわり

「お伺いします」と「伺わせていただきます」の違いと敬語のマナー

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ビジネスメールや電話対応で、ふと迷ってしまう敬語表現があります。たとえば、「明日お伺いします」と「明日伺わせていただきます」。どちらも「相手のもとへ出向く」という意味で使われますが、そのニュアンスや適した場面は微妙に異なります。

本記事では、両者の意味と使い方の違いを整理し、自然で信頼感のある敬語表現の選び方をご紹介します。

「お伺いします」とは?

「お伺いします」は、謙譲語「伺う」に、丁寧さを加える接頭語「お」をつけた言い回しです。

使用例:

  • 明日、御社にお伺いします。
  • 後ほど担当者のもとへお伺いします。

この表現は、「相手のもとへ行く」「話を聞く」「質問する」など、自分の行為をへりくだって述べるときに使います。

ポイント:

  • シンプルで自然な謙譲語
  • 丁寧すぎず、ビジネス文書においても定番
  • 「伺わせていただきます」よりも汎用性が高く、無理のない敬語表現

「伺わせていただきます」とは?

「伺わせていただきます」は、同じ「伺う」を使いつつも、構造がより複雑です。

構造の内訳:

  • 伺う:謙譲語
  • 〜させていただく:相手の許可・恩恵を前提とする控えめな言い回し

使用例:

  • 来週の会議には、私から伺わせていただきます。
  • 弊社の担当者が伺わせていただきますので、よろしくお願いいたします。

ポイント:

  • 相手の立場や配慮への敬意を強く込めたい場面で有効
  • ただし、頻繁に使うとくどく、不自然に聞こえることも

ニュアンスと場面での使い分け

表現丁寧さニュアンス適した場面
お伺いします標準的で自然な謙譲語一般的なビジネスシーン、訪問・メール
伺わせていただきます◎〜△相手の許可を前提とした丁寧表現改まった場面、初対面、重要な取引先など

「伺わせていただきます」は丁寧な響きがありますが、「〜させていただく」の乱用は過剰敬語とみなされ、逆効果になる場合もあります。

「させていただきます」は万能ではない

「伺わせていただきます」が間違いというわけではありませんが、以下のような使用例には注意が必要です。

不自然な例:

  • ❌ 明日、会議に出席させていただきます。
     → 自社主催の会議であれば「出席します」で十分。
  • ❌ 書類を提出させていただきます。
     → 提出が当然の行為であれば「提出します」でよい。

「〜させていただく」は、相手の許可や恩恵によって成り立つ行為に対してのみ使うべきです。

書き換えのヒント:自然な敬語にするには

不自然な表現より自然な言い換え
来週、御社に伺わせていただきたく存じます来週、御社にお伺いしたく存じます
改めて伺わせていただきます改めてお伺いします
上司にご相談させていただきます上司にご相談いたします

まとめ:敬語は“丁寧さ”より“適切さ”

  • 「お伺いします」は自然で広く使える基本表現。
  • 「伺わせていただきます」は丁寧だが、乱用は避けたい。
  • 「〜させていただく」は、相手の許可が前提となる行為で使う。

敬語で大切なのは、丁寧すぎる表現ではなく、場にふさわしい“適切さ”です。相手との関係性や場面に応じて、過不足のない言葉を選びましょう。

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