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『破門』黒川博行 ‐ 小説ならではの価値を見いだせる作品【書評】

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ここでは、黒川博行さんの小説『破門』について、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

破門 黒川博行・著

破門(黒川博行, 角川文庫)
出典:Amazon

書誌情報

書名:破門
著者:黒川博行
出版社:KADOKAWA
発売年月:単行本 2014年1月/文庫本 2016年11月/電子書籍 2016年11月
ページ数:単行本 472ページ/文庫本 576ページ

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テンポのよさや哀愁が漂う登場人物の造形が秀逸

冒頭を読んだら、続きを読みたい、最後まで読みたいと思わせる面白さがあった。実際に期待を裏切ることはなかった。本作は第151回(2014年上半期)直木賞受賞作であるが、申し分のないエンターテインメント作品であった。

会話体が中心の小説だが、テンポがよく登場人物がいきいきとしていて、スピード感があって面白い。ヤクザの抗争の話であり裏社会もの、あるいはハードボイルドという括りになると思うが、文学的な評価は別にして哀愁が漂う人物像や、会話文を含めた描写の秀逸さは特筆すべき点といえそうだ。

会話については大阪弁が使われているが、実際に話されている言葉というよりは、標準語に大阪弁の雰囲気を持たせて創作しているようだ。大阪弁に慣れていなくても日本語話者であれば、すらすらと読めるはずだ。地の文が少ないのは、大阪弁との親和性を考慮したのだろうか。読者を飽きさせずに楽しませることも含めて、よく練られた作品であると感心した。

話の展開や結末にくわえて、細かい部分もよく練られているので、映像では表現しきれない小説ならではの価値を見いだせる作品だと思う。

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