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『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん ‐ 男の友情物語!?【書評】

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この記事では、三浦しをんさんの小説『まほろ駅前多田便利軒』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

まほろ駅前多田便利軒 三浦しをん・著

まほろ駅前多田便利軒(文春文庫/三浦しをん)
出典:Amazon

書誌情報

書名:まほろ駅前多田便利軒
著者:三浦しをん
出版社:文藝春秋
発売年月:単行本 2006年3月/文庫本 2009年1月/電子書籍 2009年6月
ページ数:単行本 334ページ/文庫本 352ページ
ジャンル:小説

男の友情物語!?

三浦しをんさんの長編小説『まほろ駅前多田便利軒』は第135回直木賞(2006年上半期)受賞作である。単行本の刊行は2006年3月。女性作家による男性的な男の友情物語。

初出は隔月刊の小説誌『別册文藝春秋』。本作は、2005年1月(255)号から2005年11月(260)号にかけて連載された。単行本が6話から成るのはそのため。
本作のように、『別册文藝春秋』に連載された後に、単行本化され直木賞を受賞した作品は多い。本誌は、2015年6月号より電子版『別册文藝春秋』に移行した。

三浦しをんさんの『まほろ駅前多田便利軒』は、エンターテインメント性が高く、素直に楽しめる作品。登場人物の言動やストーリーが抜群に面白い。直木賞の選評も、概ね良い。好みの違いは、多少あるだろうが、面白い小説を読みたい人なら、楽しめるはず。

主人公の多田啓介は便利屋。地元のまほろ市の駅前に事務所兼自宅がある。従業員は彼一人であった。
ある日、仕事中に高校の同級生と再会する。彼の名前は行天春彦。成績が良く、見た目も悪くなかったが、校内では変人として有名だった男。
おひとよしの多田と、愛敬があるが変人の行天。特に親しかったわけではない二人。多田には行天に対して、後ろめたい過去があった。駅まで送るだけのつもりが、一泊させることになり、そのまま行天は……。

多田と行天が通った高校は進学校。進学校と聞くと、おっとりとした優等生ばかりと思い込んでいる人もいるが、実際はそうではない。二人が通った東京都立まほろ高校もそのようだ。僕が卒業した公立の進学校もそうであった。
多田も行天も、以前は会社に勤め、堅実な人生を送っていたが、それぞれに人生の転機があり、現在に至り、再会した。

便利屋は、どちらかというと男性向きの仕事。行天が居着いたこともあってか、便利屋の仕事にしては、危険な目にも遭う。男性的で男目線の語りや会話も多い。
本作は男の友情物語とも言える。それを女性の三浦しをんさんが、29歳のときに書いた。だが、多田と行天の心情はよく伝わってくるし、自分に通じるものも感じた。作家が女性なのか、男性なのかの違いは、それほど大きくはなく、作家としての力量の方が重要なようだ。

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