この記事では、辻真先さんの小説『たかが殺人じゃないか:昭和24年の推理小説』を紹介します。
たかが殺人じゃないか:昭和24年の推理小説 辻真先・著
書誌情報
書名:たかが殺人じゃないか:昭和24年の推理小説
著者:辻真先
出版社:東京創元社
紙書籍
二つの不可解な事件の解明と動機
冒頭から結末までにわたる伏線の張り方にユーモアがあり面白い。物語の3分の2あたりまでに、密室殺人と解体殺人という二つの不可解な事件の、トリックを解明し犯人の目星をつけ、残りの3分の1で動機を推測するという構成であった。推理小説の醍醐味を味わえる作品である。
作品の舞台は、辻真先さん自らが経験した戦後日本の混乱期であるが、人間の本質に大きな違いはなく、登場人物に共感しながら読み進めることができた。
辻真先さんのミステリ小説『たかが殺人じゃないか』は、東京創元社より2020年5月に刊行された。本書は、「このミステリーがすごい! 2021年版」国内編、〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門、〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇、において第1位を獲得した。「2021本格ミステリ・ベスト10」国内篇においては第4位であった。
辻真先さんは、1932年愛知県生まれ。本作の舞台は、著者自らが経験した戦後日本の混乱期。
昭和24年、ミステリ作家を目指している風早勝利は、新制高校3年生になった。旧制中学卒業後の、一年だけの男女共学の高校生活。この時期、現在の6・3・3制への移行と男女共学化が図られた。
顧問の提案で勝利たちの推理小説研究会は、映画研究会と合同で、修学旅行代わりの一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒五名で湯谷温泉へ。そこで密室殺人事件に遭遇する。
さらに学園祭に出品するための、廃墟での撮影中、解体殺人が起きる。