この記事では、アニメ映画『耳をすませば』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。
耳をすませば
作品情報
製作プロデューサー・脚本・絵コンテ:宮﨑 駿
原作:柊あおい
監督:近藤喜文
プロデューサー:鈴木敏夫
出演者:本名陽子, 高橋一生, 立花 隆, 室井 滋, 露口 茂, 小林桂樹
配給:東宝
劇場公開日:1995年7月15日
スタジオジブリによる少女漫画を原作にした中学生の青春物語
人生を振り返るような年齢に近づいた。1995年に公開されたスタジオジブリ制作のアニメ映画『耳をすませば』は、こういった中学時代を過ごせたら楽しかっただろうなと思える内容だった。読書が好きな中学3年の月島雫と、ヴァイオリン職人になるという大きな夢を持つ、クラスは違うが同じく中学3年の天沢聖司。ほのぼのとした作風の青春物語であった。
原作は1989年に少女漫画月刊誌『りぼん』で連載されていた、柊あおいさんの同名漫画。雑誌を見た宮崎駿さんが気に入り、映画化された。宮崎駿さんは、プロデュース・脚本・絵コンテを担当された。監督は近藤喜文さん。原作とアニメーション映画では、設定と展開が異なり、家族構成や年齢、職業のほか、性格などにも相違点があるようだ。
実は、柊あおいさんの『耳をすませば』は、少女漫画としては地味だったせいか、発表当時は人気がでず連載4回目で終了している。続きがあってもいいように感じるのは、そのせいかもしれない。ラストシーンで、中学3年生の二人が朝日を眺めながら交わした会話には、少し驚かされた。
主人公の月島雫役は本名陽子さんで、作中や主題歌などで歌声も披露している。作中では、雫が訳詞したという設定の「カントリー・ロード」を、聖司のヴァイオリンによる伴奏で歌っている。そして天沢聖司役を務めたのが、声変わり前の当時14歳だった高橋一生さん。