小説

『水と礫』藤原無雨 ‐ 物語を反復させながら広げていく章立て【書評】

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この記事では、藤原無雨さんの小説『水と礫』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

水と礫 藤原無雨・著

水と礫(河出書房新社/藤原無雨)
出典:Amazon

書誌情報

書名:水と礫
著者:藤原無雨
出版社:河出書房新社
発売年月:単行本 2020年11月/電子書籍 2020年11月
ページ数:単行本 196ページ

物語を反復させながら広げていく章立て

藤原無雨(ふじわら・むう)さんの小説『水と礫』は、第57回文藝賞受賞作。第34回三島由紀夫賞の候補作でもある。物語を反復させながら広げていく章立てが特徴的な作品であった。

藤原無雨さんは、1987年兵庫県姫路市生まれ。ライトノベルでのペンネームは、マライヤ・ムー。

この小説は、章立てに特徴がある。章の冒頭に「1」「2」「3」と数字が振られているのは普通だが、「3」の次が「4」にならず、再び「1」「2」「3」を繰り返す。数えてみたら、7回の反復。

本作は、クザーノというあだ名の人物の物語として始まり、クザーノを中心に、父母、祖父母、子、孫と話が広がっていく。登場人物の年齢を変えたり、フォーカスされる人物を代えたりしている。

歳を重ねていくなかでの心理の変化。一族の歴史。それらが丁寧に描写されており、小説としての面白さや言語感覚、書き手の語り口などが評価されたようだ。

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