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『塞王の楯』今村翔吾 ‐ 戦乱の世を石垣職人と鉄砲職人の目線から【書評】

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この記事では、今村翔吾さんの小説『塞王の楯』(さいおうのたて)について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

塞王の楯 今村翔吾・著

塞王の楯/今村翔吾
出典:Amazon

書誌情報

書名:塞王の楯
著者:今村翔吾
出版社:集英社
発売年月:単行本 2021年10月/電子書籍 2021年10月/文庫本 2024年6月
ページ数:単行本 560ページ/文庫本上巻 368ページ/文庫本下巻 368ページ

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戦乱の世を石垣職人と鉄砲職人の目線から

今村翔吾さんの『塞王の楯』(さいおうのたて)は、2021年10月に集英社から刊行された歴史小説で、第166回直木賞受賞作。石垣職人と鉄砲職人の対決を中心に描いた着想が新鮮な作品である。

物語の序章は、織田信長が朝倉義景の本拠地に攻め込んだ一乗谷城の戦い。この戦いで多くの民が戦火に巻き込まれ、命を落とす。主人公の匡介は、この戦いに幼い頃に遭遇し家族を喪った。辛うじて生き延びた匡介は、この戦いの最中に、塞王と呼ばれる石垣職人の飛田源斎と出会う。匡介は源斎の下で修業を積む。

そしてクライマックスは、関ヶ原の戦いの前哨戦ともいえる大津城の戦い。城主の京極高次は、籠城し西軍を迎え撃つことを決意。匡介らの飛田屋は、以前から大津城の石垣の建造に関わってきた。

戦いの最中の石垣造りを“懸”という。飛田屋では、この懸を請け負うことがある。断ってもよい。だが、頭となった匡介は、高次からの依頼を受けることに。そこでは、鉄砲職人の大筒との、熾烈な戦いが待っていた。

大津城の戦いは、伏見城の戦いに続く、関ヶ原の戦いの前哨戦。その前哨戦を石垣職人と鉄砲職人の対決を中心に描く。この時代の戦を題材にするときに、鉄砲職人に目を向けることがあるかもしれない。この物語のように、石垣職人を注視する着想に新鮮さを感じた。

城を建てるためには、城主の財力と職人たちの技能が欠かせない。戦に大砲や鉄砲が使われ出すと、城攻めへの防御のために、戦いの最中でも石垣職人の力が必要になったようだ。

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