書物とことば

『笑顔と筋肉ロボット』山崎ナオコーラ ‐ 科学技術の進歩のおかげで性差は縮まる!?

山崎ナオコーラさんの短編小説『笑顔と筋肉ロボット』の初出は、月刊誌『すばる』2020年11月号。テーマはジェンダー。男性も女性も共感し、楽しめる作品だと思う。とくに物語の後半では、夫婦の会話に深みを感じたし、ユーモアのセンスにも感心した。
書物とことば

『おもろい以外いらんねん』大前粟生 ‐ 笑いと差別をテーマにした中編小説

大前粟生さんの中編小説『おもろい以外いらんねん』は、笑いと差別をテーマにと依頼され、書き上げた作品とのこと。「2020年のコロナ下、リアルタイムで現実でも起きているようなことをフィクションに」と言われたそうだ。
書物とことば

『水と礫』藤原無雨 ‐ 物語を反復させながら広げていく章立て

藤原無雨さんの小説『水と礫』は、第57回文藝賞受賞作。この小説は、章立てに特徴がある。歳を重ねていくなかでの心理の変化。一族の歴史。それらが丁寧に描写されており、小説としての面白さや言語感覚、書き手の語り口などが評価されたようだ。
映像とものがたり

『天気の子』神秘的で叙情的な物語に感動

新海誠監督のアニメ映画『天気の子』は、神秘的で叙情的な物語。純粋で逞しい15歳の少年と少女の恋物語に心温まる。リアルな背景美術を目にした時点で、作品に引き込まれた。美しい映像や音楽は、神秘的な物語をより感動的にする。
書物とことば

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹 ‐ 自身のルーツ

村上春樹さんの『猫を棄てる 父親について語るとき』。亡き父親の戦争体験や父親との思い出、自身のルーツについて綴ったエッセイ。世界を作り上げる大きな物語の、ごく微小な一部について。
書物とことば

『コンジュジ』木崎みつ子 ‐ 現実・妄想・伝記が交錯する物語の魅力

木崎みつ子の『コンジュジ』は、第44回すばる文学賞受賞作。主人公・せれなが11歳で恋したロックスター・リアンとの関係を軸に、現実・妄想・伝記が交錯する独特の物語が描かれる。本記事では、そのテーマや構成を詳しく考察・解説します。
書物とことば

『一人称単数』村上春樹 ― 記憶と幻想が交錯する短編集

村上春樹さんの短編小説集『一人称単数』の刊行は2020年。短編集は文章の名手と言われるような老練な作家が書くもの、という意見を聞くことがあります。『一人称単数』は正にそういった作品といえるでしょう。
書物とことば

『海辺のカフカ』村上春樹 ‐ 15歳の少年が主人公の幻想的な物語

村上春樹さんの小説『海辺のカフカ』は、書き下ろしの長編。村上春樹さんの長編小説としては、10作目となる。上下巻二分冊で刊行された。『海辺のカフカ』は、15歳の少年が家出を決意するところから始まる。
書物とことば

『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹 ‐ 夫婦の感情のもつれ、戦前の満州国

『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹さんの8作目の長編小説。「第1部 泥棒かささぎ編」「第2部 予言する鳥編」「第3部 鳥刺し男編」の3巻から成る。第47回(1995年)読売文学賞<小説賞>受賞作。
書物とことば

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹 ‐ 思考と無意識を彷徨う二重世界の物語

村上春樹さんの長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、第21回谷崎潤一郎賞受賞作。この小説は40章からなり、「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、「世界の終り」の章が交互に繰り返され、二つの物語はパラレルに進行する。
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