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『人魚の眠る家』娘への愛と家族の葛藤に心が揺さぶられる【映画評】

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この記事では、映画『人魚の眠る家』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

人魚の眠る家

人魚の眠る家
出典:Amazon

映画作品情報

監督:堤幸彦
脚本:篠崎絵里子
原作:東野圭吾『人魚の眠る家』(幻冬舎文庫)
出演者:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、田中哲司、田中泯、松坂慶子 ほか
配給:松竹
劇場公開日:2018年11月16日

Blu-ray/DVD ほか

娘への愛と家族の葛藤に心が揺さぶられる(映画評)

映画『人魚の眠る家』は、脳死状態と思われる娘への愛や家族の葛藤に心が揺さぶられる作品である。
播磨薫子(篠原涼子さん)と夫の和昌(西島秀俊さん)の間には、6歳の娘と4歳の息子がいる。
和昌は、父親の後を継いでIT系機器メーカーの社長をしている。
二人は、和昌の浮気が原因で別居しており、娘の瑞穂の私立小学校受験が終わったら、離婚するつもりでいた。
そんな折、瑞穂がプールで溺れたという連絡が入る。

脳神経外科医の進藤(田中哲司さん)は、瑞穂は脳死状態と考えられ目を覚ますことはないだろう、と告げる。
そして医師の進藤は、和昌と薫子の二人に、瑞穂の臓器を移植希望者に提供する意思はあるかを尋ねる。
臓器提供の意思があるのであれば、脳死判定が必要になる。
薫子と和昌の二人は、臓器提供を決意し娘の瑞穂と最後の別れをしようする。
その時、瑞穂の手がかすかに動く。
これは、脳死状態でも脊髄などが生きていると起こるラザロ徴候。
医師からは脳死状態であることに変わりはないと説明を受けるが、薫子は延命治療を続けることを希望する。

そして薫子は、植物状態の瑞穂を自宅に連れ帰り、母親の千鶴子(松坂慶子さん)や訪問介護などの助けを受けながら、瑞穂の介護を続ける。
和昌もまた、経営する会社の研究員である星野裕也(坂口健太郎さん)の協力を得ながら、最新の医療機器で娘の回復を試みる。
和昌は薫子からの離婚取り消しの申し出も受け入れた。

薫子は、家族や周囲の協力を得ながら、すべてを投げ打って懸命に介護を続ける。
瑞穂の命は、前例のない医療技術で脳死状態のまま維持された。

しかし、薫子が脳死状態の瑞穂を頻繁に外に連れ出すなどしたため、周囲の人間は薫子の振る舞いを疑問視するようになる。
薫子は、瑞穂を生きている人間として扱うことに過剰なまでに執着していた。
小学生になった息子の生人は、植物状態の姉のことで、自分が学校で苛められないか不安になっていた。
そんな生人を、薫子は強く叱る。
家族と言い争いになった薫子は、警察を呼び出し、娘を殺したら殺人になるのかと問う。
薫子は、家族による必死の説得で漸く冷静さを取り戻す。
このシーンは、物語終盤に起こる作品のクライマックスと言えるだろう。
物語は、さらに展開してゆく。

監督を堤幸彦さん、脚本を篠崎絵里子さんが務めた。
劇場公開日は2018年11月、配給は松竹。

原作は東野圭吾さんの同名小説『人魚の眠る家』(幻冬舎, 2015年11月)。

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