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『大野晋の日本語相談』雑誌の読者の疑問に日本語の碩学、泰斗が回答【書評】

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大野晋氏(1919 – 2008年)は国語学者であり、文学博士。本書は2002年刊の単行本『大野晋の日本語相談』(朝日新聞社, 2002年8月刊)を底本として、2014年に河出書房新社から文庫本および電子書籍が発行された。

初出は『週刊朝日』1986年8月8日~92年5月29日号。1986年に『週刊朝日』の企画で「日本語相談」が始まった。発案者は小説家の丸谷才一氏。

本書の解説を担当されたのは、元『週刊朝日』編集長で、文筆家の川村二郎氏(企画の担当副編集長)だが、丸谷才一氏が企画を提案したときの理由について、次のように紹介している。

国民性や自分の国の言葉について、日本人ほどあれこれ話したがるのが好きな国民はいない。日本語について読者の相談に乗るのは、この雑誌にぴったりでしょう

本書の川村二郎氏の解説より

そして、大野晋、丸谷才一、大岡信、井上ひさし各氏が交代で回答を担当することになった。また、大野晋氏は「日本語相談」の相談役という存在であったとのこと。

そして、『日本語相談』全5巻(朝日新聞社, 1989年3月~92年11月刊)が、四氏による共著として単行本化。さらに、単行本版全5巻を回答者別に再編集の上、文庫化されたうちの一冊が『大野晋の日本語相談』(朝日文芸文庫, 1995年11月刊)。この朝日文芸文庫は、2002年8月に単行本化され、朝日新聞社から刊行された。

川村二郎氏の解説の中で、大野晋氏が生前に話されたことが紹介されている。

大野晋氏は次のようなことを話されていたとのこと。

日本語は曖昧だと言う人がいるけど、それは違う。言葉は、使う人しだいさ。 ~中略~ 使う人の頭の中が曖昧模糊としていれば、文章を書いても話しても、曖昧なものになるのさ

本書の川村二郎氏の解説より

例えば英語においても、時と場合によっては、あるいは言語を操る人によっては、曖昧になったり、明瞭であったりするのではないだろうか。

カタカナ英語の氾濫については、次のように述べられたとのこと。

戦争に負けて、日本は頭の中までアメリカの植民地にされたね。 ~中略~ 物の名前と固有名詞以外はカタカナ英語を使わないようにしないと、大変なことになるよ

本書の川村二郎氏の解説より

この事については、どのように感じるかは人それぞれかもしれない。

他の言語においても外来語は存在するとしても、日本語の文章や話の中で物の名前や固有名詞以外の英単語などが突然飛び込んでくると違和感が心の中に動く。

強い違和感が広がる人もいるだろし、漢語や和語の教養が乏しいのか、あるいは英語好きで他に言葉が見つからないのだろうかと許容できる人もいるかもしれない。

さらに、大野晋氏は次のようなことも。

小学校から英語なんて、とんでもないことだよ。 ~中略~ 子供のときから日本語の読み書きを徹底して教えて、自分で考える習慣を身につけないと、この国の未来は暗いね

本書の川村二郎氏の解説より

朝日文芸文庫の『大野晋の日本語相談』は絶版になっていたのだが、川村二郎氏は最後に河出書房新社に対する謝辞で、解説の文章を締め括っている。

大野晋の日本語相談
出典:Amazon
書誌情報

書名:大野晋の日本語相談
著者:大野 晋
出版社:河出書房新社
発行年月:2014年1月20日(文庫版)/2014年4月30日(電子版)
Cコード:C0181

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