本・辞書

『てにをは辞典』小内一 ‐ 言葉の結びつきに特化

この記事は約3分で読めます。

この記事では、小内一氏が編者の『てにをは辞典』(三省堂)をご紹介する。

『てにをは辞典』を使うと、効率的に助詞選びや言葉の結びつき、つまりコロケーションの確認ができる。
文章を書くときは、言葉に結びつきを持たせながら組み立てるが、その際に役立つ。話し方の向上にもつながるかもしれない。

てにをは辞典 小内一・編

てにをは辞典(三省堂/小内一)
出典:Amazon

てにをは辞典

著者:小内一
出版社:三省堂
発行年月:2010年9月
ページ数:1,824ページ
Cコード:C0581

小内一氏が編纂した『てにをは辞典』

『てにをは辞典』は、言葉の結びつきに特化した文章上達のための辞典。
二つ以上の言葉がどのように結びつくのかを確認したい場合に役立つ。

「てにをは」とは

「てにをは」とは、日本語の助詞・助動詞・活用語尾・接尾語など、文節の末尾に付く語の総称。広義では、体言・用言以外、つまり副詞や接頭語も含む。狭義では、助詞・助動詞のみを指す。また、言葉の用法、特に助詞の用法という意味でも使われる。助詞の別称でもある。

国語辞典は、言葉の意味と文法の解説が主である。紙面の制約上、編者の小内一氏の言う結合語の例はわずか。小内一氏は、国語辞典を補完し、文章を書く時の手助けとして、この辞典を使ってほしい、と述べている。

「てにをは辞典」はどういう本?

「てにをは辞典」は、二つ以上の言葉がどのように結びつくのかを確認したい場合に役立つ辞典だ。一つの言葉が単独で使われることもある。しかし、文章を書いたり、会話をしたりする際は、言葉に結びつきを持たせながら組み立てる。
本書では、二つ以上の言葉が結びついた形を結合語と呼んでいる。たとえば「名詞」と「動詞」が「助詞」を介して結びついた形など。助詞だけでなく、形容詞や副詞などの結びつきまで収められている。

本書は、助詞や助動詞を文法的に解説するような辞典ではない。用例を採集した辞典である。解説が必要な場合は、他の書籍を選ぶとよいだろう。助詞・助動詞の辞典は数多く出版されてきた。その中には、意味・用法を文法に触れながら解説している辞典がたくさんある。

「てにをは辞典」には60万の結合語例が載っている

「てにをは辞典」の用例は、250名以上の作家の作品や、雑誌や新聞などから採録されている。採集したのは、近現代の大衆小説や時代小説、純文学、評論など。著名な作家らの文章のため、信頼度が高い。

本書には、60万の結合語例が、3万5千の見出しのもとに収録されている。見出しは、名詞、動詞、形容詞、形容動詞、副詞など。原則として、助詞、助動詞、接続詞、感動詞は見出しにはなっていない。
見出しの並べ方は、一般の国語辞典と同じく五十音順。そのため、言葉の結びつきを、執筆中などに調べる場合は便利だ。たとえば、一つの見出しを見ると、その見出しに対する、前後の結びつきの例が載っている。使いたい単語にぴったりの結びつきを探すのに役立つであろう。

言葉の結びつきの法則を知ると文章は上達する

「てにをは」が変わると、文章のニュアンスが変化する。用法を誤ると、相手に自分の主張や思いが的確に伝わらない。自分も相手も、違和感を覚えることになるだろう。文章を書いていて、より適切な言葉の結びつきを知りたい、表現を工夫したい、そう思った時に役立つのが本書である。

文章に関わる仕事で、言葉がしっくりしない場合や、他の言い回しや表現を知りたい時などはないだろうか。小内一氏は、そういった時に参考になる本が見当たらなかったので、自力で結合語を採集し始めたと述べている。そして本書の刊行に至ったとのだと。

▶関連記事:国語辞典を20冊前後使ってみた感想

タイトルとURLをコピーしました