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『ベネッセ表現読解国語辞典』わかりやすさを追求した国語辞典

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この記事では、沖森卓也氏と中村幸弘氏が編者の『ベネッセ表現読解国語辞典』をご紹介する。

ベネッセ表現読解国語辞典 沖森卓也・中村幸弘 編

ベネッセ表現読解国語辞典
出典:Amazon

書誌情報

書名:ベネッセ表現読解国語辞典
編者:沖森卓也・中村幸弘
出版社:ベネッセコーポレーション
初版発行:2003年5月
ページ数:1,664ページ
収録項目数:3万5千項目
Cコード:C0581

わかりやすさを追求した国語辞典

『ベネッセ表現読解国語辞典』(沖森卓也・中村幸弘, ベネッセコーポレーション)は、高校生を主な対象にし、わかりやすさを追求した国語辞典。

巻末を見ると、お二人の編集者のほかにも多くの方が執筆に携わられたことが記載されている。内容だけでなく、編集の方法に関しても、他の国語辞典とは若干異なるようだ。

『ベネッセ表現読解国語辞典』は、他の国語辞典とは異なる特徴があるので、簡単にではあるがご紹介したい。

本書は四部構成となっており、「辞典部」「漢字部」「機能語部」「敬語表現部」に分かれる。
ことばの特性に応じて、もっともわかりやすいスタイルで解説、というのがコンセプトのようだ。
辞典部での収録数は約3万5千項目である。

一字漢字や造語成分は「漢字部」。
接続詞・助詞・助動詞は「機能語部」。

対象は、国語学習の途上にある高校生とのこと。
方針として2点あげている。

  1. 論理的な文章や情緒的な文章を読解するのに役立つこと。
  2. 自己の思考や感情を的確に表現するのに役立つこと。

本書では、最初の見返しに全体構成についての説明がある。
他の国語辞典であれば、記号・略語表などが記載されている箇所。

その中で、全体構成が四部構成であることに触れ、辞典部についての説明がある。
次のような説明。

本辞典では、ことばの解説を単一の形式に押し込めるのではなく、ことばの特性に応じて適切な手法で解説しました。
1~5の5種類あります。

5種類とは次の5つのこと。

  1. 抽象語<漢語・外来語>
  2. 多義語<和語の動詞>
  3. 即場面性・即文脈性のある語<和語の形容詞>
  4. 多彩な表現をするうえで核になる語<名詞>
  5. 話し手の主観を表し、表現にニュアンスを添える語<副詞>

そして辞典部では、収録する単語を最重要語・重要語・一般語にわけ、それに表現チャートを加えている。

最重要語と重要語に関しては、1ページぐらい、単語によっては2ページ以上の紙面を割いている。

表現チャートは、表現の幅を広げるコラムで、「ものさし」「もっとぴったり」「いろいろ」の3種類計42から成る。

編者の沖森卓也氏は1952年生まれの日本語学者。2021年6月現在、教授を務める大学のホームページを見ると、専門は記紀万葉を中心とした日本古代資料の解読とその研究、と書かれていた。

もうひとりの編者、中村幸弘氏は、1933年生まれの国語学者。参考書や啓蒙書の執筆が多い方のようだ。

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