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『日本語 描写の辞典』中村明 思い思いにページをめくる【書評】

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中村明氏の『日本語 描写の辞典』は、2016年1月に東京堂出版より刊行された。描写の参考にする文例は近現代の文学作品である。私は文学好きなので共感できた。

ほとんどが1、2文の短い文例だが、それには理由がある。本書は、「もの・こと ―自然描写」「ひと ―人物描写」「こころ ―心理描写」の三つに大きく分類し、その中に計58のトピックを設けた。そして、トピックごとに各10~20の文例を挙げ、表現のポイントを解説するという構成である。ゆえに本の題名が描写の辞典になったようだ。

何のため本なのかと思う方もいるかもしれないが、名描写と思われる一節を抜粋して集めていることと、中村氏の解説などに価値があるのではないだろうか。本書には、とくに優れた描写表現がピックアップされていると考えてよいだろう。

「はじめに」には、「文学作品の鑑賞はもちろん、読者自身の文章表現の実際にも資するように配慮したつもりである」という記述があった。そして「思い思いのページをめくるほうが、もしかしたら適しているかもしれない」、とも。

それから、Ⅰ部「もの・こと ―自然描写」およびⅡ部「ひと ―人物描写」に関しては、具体物の描写であることを考慮して、効果的な表現の指摘を中心とし解説は簡潔に記載されている。Ⅲ部「こころ ―心理描写」に関しては、状況や文脈がわからないと理解がむずかしい例が多いため、場面の解説のほか、参考となりそうな情報が折り込まれている。

日本語 描写の辞典/中村明
出典:Amazon
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