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『居眠り磐音 陽炎ノ辻』佐伯泰英 大長編シリーズの第1作【書評】

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佐伯泰英さんの「居眠り磐音」シリーズは、全51巻からなる文庫書下ろしの時代小説。佐伯泰英さんは、1942年、北九州市生まれ。
第1作『居眠り磐音 江戸双紙1 陽炎ノ辻』が、双葉社から刊行されたのが2002年4月、最終の51巻『旅立ノ朝』が完結したのが2016年1月。

また、2019年2月から文春文庫より、「居眠り磐音」〈決定版〉シリーズとしても刊行されている。版元を変えて決定版として刊行することになった理由について、著者の佐伯泰英さんは、早書きしたシリーズを新たな視点から見直したいと思ったから、と述べている。

主人公の坂崎磐音を、最初に居眠り磐音と呼んだのは、国元・豊後関前藩での剣術の師・神伝一刀流の中戸信継。磐音の剣術の腕は確かだが、中戸信継は磐音の構えを居眠り剣法と評した。坂崎磐音は、厳しい稽古で知られる、江戸の直心影流・佐々木玲圓の道場でも目録が与えられるほどの腕前。

第1作『居眠り磐音 陽炎ノ辻』は、27、8歳の若き武士3人が、2、3年の江戸勤番や留学を終え、国元の豊後関前藩へと帰郷するシーンから始まる。坂崎磐音、河出慎之輔、小林琴平の3人である。3人は上士の家柄で、幼少から付き合ってきた仲。3家族の兄弟姉妹は、仲の良い幼馴染。坂崎磐音には、奈緒という許婚がいたが、彼女は小林琴平の末妹。また、河出慎之輔の妻・舞も、小林琴平の妹。

だが帰郷早々、河出慎之輔が悪意のこもった流言に惑わされ、小林琴平と斬り合うことに。最後には坂崎磐音と小林琴平との斬り合い。悪夢のような出来事である。
思いもよらなかった彼らの運命。3人のうち1人生き残った坂崎磐音は、藩に暇乞いをして江戸に戻り、深川の長屋で暮らし始める。坂崎磐音は、親友を亡くした悲しみに暮れ、国元に残した奈緒の身の上を案じ、思いを馳せる。
浪人となった坂崎磐音は、資金が底をつきはじめ、日雇いで働き、鰻割きもした。そんな折、長屋の大家・金兵衛の紹介で、両替商の用心棒の仕事が舞い込んできた。

居眠り磐音/佐伯泰英
出典:Amazon
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