この記事では、村上春樹さんの小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹・著
書誌情報
書名:色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
著者:村上春樹
出版社:文藝春秋
発売年月:単行本 2013年4月/文庫本 2015年12月/電子書籍 2015年12月
ページ数:単行本 376ページ/文庫本 432ページ
ジャンル:小説
紙書籍
電子書籍
高校時代の友人4人の苗字には色を表す漢字が含まれている
小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は、村上春樹さんの13作目の長編です。
2013年に文藝春秋から刊行された書き下ろし。
主人公が語る過去の悲痛な出来事から物語は始まります。
本作はいわゆるリアリズム小説。
多崎つくるには、高校時代に4人の友人がいました。
赤松慶、青海悦夫、白根柚木、黒埜恵理の4人です。
4人の苗字には、色を表す漢字があります。
グループ内では、それぞれ「アカ」「アオ」「シロ」「クロ」の愛称で呼ばれていました。
主人公の多崎つくるだけは苗字に漢字を含んでいません。
5人は名古屋市の公立高校の同級生でよい関係が続いていました。
高校を卒業し、多崎つくるを除く4人は地元の大学に進学します。
多崎つくるは、東京の工科大学に進学します。
多崎つくるには、子供の頃から鉄道が好きで、将来の仕事を念頭に進学する大学を決めたようです。
多崎つくるは、大学に通い始めます。
地元名古屋へ帰省することになり、高校時代の仲間と連絡を取ろうとしました。
多崎つくるは、5人の関係はいつまでも続くと考えていました。
しかし、多崎つくるは突然、仲間たちから追放されてしまいます。
理由は伝えられず、多崎つくる自身も理由が分かりません。
多崎つくるは、一時死をも意識するほどの精神状態に陥りましたが、大学を卒業し鉄道会社へ就職しました。
鉄道会社で駅を設計する仕事に携わっています。
そして、2歳年上の木元沙羅と交際しています。
多崎つくるには、仲間達から絶縁された記憶が今でも残っています。
ある日、多崎つくるは、交際中の木元沙羅に過去に起きた出来事を話します。
自分を心底傷つけた、忘れられない出来事についてです。
木元沙羅は理由が分からないことに疑問を感じます。
4人に会って正面から向き合うことを勧めます。
そして、多崎つくるは巡礼の旅に出ることを決意したのです。
4人の人格から考えて、一方的に友人を拒絶することはあり得ないはずです。
一体、何があったのでしょうか。