文学賞を一覧にしました。公式サイトに記載されている内容について、概要を簡単に確認できるように、整理してまとめてあります。説明文は主に公式サイトの記述を参考にし、書き換えが難しい場合はそのまま引用しています。
純文学を対象とする文学賞
芥川龍之介賞
主催:公益財団法人日本文学振興会
芥川龍之介賞は、雑誌(同人雑誌を含む)に発表された、新進作家による純文学の中・短編作品の中から選ばれます。選考は文藝春秋社内の日本文学振興会が行う。大正時代を代表する小説家・芥川龍之介氏(明治25年~昭和2年)の業績を記念して、友人であった文藝春秋社社長の菊池寛氏が1935年に創設。年2回発表されます。
▼公式サイト:各賞紹介|公益財団法人日本文学振興会 (bunshun.co.jp)
三島由紀夫賞
主催:一般財団法人新潮文芸振興会
三島由紀夫賞は、作家・三島由紀夫氏の業績を記念して制定された文学賞で、小説、評論、詩歌、戯曲など純文学を対象に、新鋭の作品一篇に授賞します。
「山本周五郎賞」「小林秀雄賞」「新潮ドキュメント賞」とあわせて、新潮四賞。
▼公式サイト:三島由紀夫賞 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
野間文芸賞
主催:一般財団法人野間文化財団
野間文芸賞は、純文学の小説家・評論家に授与されます。野間文化財団は、講談社の初代社長・野間清治氏の遺志により設立され、いろいろな公共の事業を行っていて、野間賞もその一つ。野間文芸賞は、昭和16年に創設されましたが、戦後一時中断し、昭和28年復活しました。
対象作品は、小説・戯曲・評論・その他で、前年9月1日から当年8月31日までに新しく発表された作品の中から、優秀作を選びます。
▼公式サイト:野間文芸賞 : 講談社 (kodansha.co.jp)
野間文芸新人賞
主催:一般財団法人野間文化財団
野間文化財団は、昭和16年に野間文芸賞とともに新人の創作活動を顕彰する野間文芸奨励賞を創設しましたが、戦後一時中断、昭和54年に、野間文芸新人賞と名称を改めて復活しました。前年9月1日から当年8月31日までに、新しく発表された小説作品の中から、最も将来性のある新人の優秀作を選びます。
▼公式サイト:野間文芸新人賞 : 講談社 (kodansha.co.jp)
谷崎潤一郎賞
主催:株式会社中央公論新社
谷崎潤一郎賞は、中央公論社が創業80周年を記念して、1965年に創設した文学賞です。明治・大正・昭和を通じて、幅広いジャンルで活躍した谷崎潤一郎氏の業績にちなみ、時代を代表する優れた小説・戯曲を顕彰します。
▼公式サイト:各賞紹介|中央公論新社 (chuko.co.jp)
川端康成文学賞
主催:益財団法人川端康成記念会 後援:株式会社新潮社
川端康成氏の死の半年後の昭和47年10月、井上靖氏を理事長として、財団法人川端康成記念会が設立され、翌年に短編小説を対象とする「川端康成文学賞」の創設が決まりました。
その年度における最も完成度の高い短篇小説に授賞します。3月の第一次選考においては、前年度の文藝・総合・読物の各雑誌、ならびに単行本に発表された短篇小説のうちから候補作をしぼりこむ作業を行い、4月に最終選考を行う。
▼公式サイト:公益財団法人川端康成記念会 川端康成文学賞 川端康成の作品資料保存|川端康成 文学賞 (kawabata-kinenkai.org)
▼公式サイト:川端康成文学賞 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
渡辺淳一文学賞
主催:株式会社集英社 一ツ橋綜合財団
渡辺淳一文学賞は、故渡辺淳一氏の功績をたたえ、純文学・大衆文学の枠を超えた、人間心理に深く迫る豊潤な物語性をもった小説作品を顕彰します。
▼公式サイト:渡辺淳一文学賞 – 集英社 (shueisha.co.jp)
エンターテインメント作品を対象とする文学賞
直木三十五賞
主催:公益財団法人日本文学振興会
直木三十五賞は、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)が対象です。文藝春秋社社長の菊池寛氏が友人の直木三十五氏(明治24年~昭和9年)の業績を記念して1935年に創設しました。年2回発表されます。
▼公式サイト:各賞紹介|公益財団法人日本文学振興会 (bunshun.co.jp)
山本周五郎賞
主催:一般財団法人新潮文芸振興会
山本周五郎賞は、昭和期に活躍した故人の名を冠する文学賞です。小説を選考の対象としますが、それ以外の分野でも対象とすることがあります。主に大衆文学・時代小説が対象で、すぐれて物語性を有する新しい文芸作品一篇に授賞されます。
「三島由紀夫賞」「小林秀雄賞」「新潮ドキュメント賞」とあわせて、新潮四賞。
▼公式サイト:山本周五郎賞 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
吉川英治文学賞
主催:公益財団法人吉川英治国民文化振興会
吉川英治文学賞は、名を冠する故人の業績を記念して昭和42年に設立された文学賞です。大衆文学が対象で、第1回は1967年でした。年1回、3月上旬に選考委員会が開かれ、受賞作を決定します。
吉川英治国民文化振興会は、国民文学作家として親しまれてきた、故吉川英治氏の偉業を記念して設立されたもので、故人の遺志をうけて、昭和42年以来「吉川英治文学賞」と「吉川英治文化賞」を設定してきました。この2賞に加えて、昭和55年より「吉川英治文学新人賞」、平成28年より「吉川英治文庫賞」を新たに設けました。
毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に最も優秀な小説、評論、その他を発表した作家に贈呈します。
▼公式サイト:吉川英治文学賞 : 講談社 (kodansha.co.jp)
吉川英治文学新人賞
主催:公益財団法人吉川英治国民文化振興会
毎年1月1日から12月31日までに、新聞、雑誌、単行本等に優秀な小説を発表した作家の中から、最も将来性のある新人作家に贈呈します。
▼公式サイト:吉川英治文学新人賞 : 講談社 (kodansha.co.jp)
柴田錬三郎賞
主催:株式会社集英社 一ツ橋綜合財団
柴田錬三郎賞は、数々の作品でひろく大衆の心をうち、ロマンの新しい地平を切り拓いた故柴田錬三郎氏の業績を称えて設けられ、現代小説、時代小説を問わず、広汎な読者を魅了しうる作家と作品を顕彰します。
公募の「小説すばる新人賞」「すばる文学賞」「開高健ノンフィクション賞」とあわせて、集英社出版四賞。
▼公式サイト:柴田錬三郎賞 | 集英社 出版四賞 (shueisha.co.jp)
中央公論文芸賞
主催:株式会社中央公論新社
中央公論文芸賞は、創業120周年を記念して、2006年に創設されました。第一線で活躍する作家のさらなる飛躍、新たな代表作となる優れたエンターテインメント作品を顕彰します。
▼公式サイト:各賞紹介|中央公論新社 (chuko.co.jp)
新聞社が主催する文学賞
毎日出版文化賞
主催:毎日新聞社 特別協力:大日本印刷
毎日出版文化賞は、1947年に創設された、出版物を対象とした文学・文化賞です。4部門のうちのひとつに<文学・芸術部門>があります。この部門の対象は、小説、随筆、詩歌、文芸学、芸術学です。
選考対象は、出版社の自薦出版物。もしくは、毎日新聞社が依頼した有識者から推薦された出版物。
4部門については下記の通り。
- 文学・芸術部門
- 人文・社会部門(ノンフィクション、歴史、民俗、思想、哲学、宗教、政治、経済など)
- 自然科学部門
- 企画部門(全集、書評など)
▼公式サイト:第76回毎日出版文化賞 作品募集 | 毎日新聞社 (mainichi.co.jp)
読売文学賞
主催:読売新聞社
読売文学賞は、戦後の文芸復興の一助とするため、1949年度に創設された総合文学賞です。「小説」「戯曲・シナリオ」「評論・伝記」「詩歌俳句」「研究・翻訳」「随筆・紀行」の全6部門があります。
毎年11月に既受賞者をはじめ、文芸界に推薦を依頼し、12月に第1次選考会、1月に最終選考会を行い、2月に受賞作品を発表しています。
▼公式サイト:読売文学賞:表彰・コンクール(文化・スポーツ・国際)のお知らせ:会社案内サイト「読売新聞へようこそ」 (yomiuri.co.jp)
大佛次郎賞
主催:朝日新聞社
大佛次郎賞は、小説、ノンフィクション、歴史記述など幅広い分野で活躍した作家・大佛次郎氏の業績をたたえて、1973年に創設されました。形式を問わず優れた散文作品に贈られます。
▼公式サイト:大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞 | 朝日新聞社の会社案内 (asahi.com)
大佛次郎論壇賞
主催:朝日新聞社
大佛次郎論壇賞が2001年に新設され、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係などをめぐる優れた論考を顕彰します。
▼公式サイト:大佛次郎賞・大佛次郎論壇賞 | 朝日新聞社の会社案内 (asahi.com)
ノンフィクション文学を対象とする賞
大宅壮一ノンフィクション賞
主催:公益財団法人日本文学振興会
ジャーナリスト・大宅壮一氏(明治33年~昭和45年)のマスコミ活動を記念し、昭和45年に制定されました。優れたノンフィクション作品を表彰する文学賞であり、対象は個人の筆者(共著を含む)によるルポルタ-ジュ・内幕もの・旅行記・伝記・戦記・ドキュメンタリ-等のノンフィクション作品全般です。1月1日~12月末までに刊行された単行本などを対象に、翌年の5月中旬に選考委員会を行います。
▼公式サイト:各賞紹介|公益財団法人日本文学振興会 (bunshun.co.jp)
小林秀雄賞
主催:一般財団法人新潮文芸振興会
自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品一篇に授与します。
選考の対象は、日本語による言語表現作品一般です。ただしフィクション(小説・戯曲・詩歌等)は除外します。
「三島由紀夫賞」「山本周五郎賞」「新潮ドキュメント賞」とあわせて、新潮四賞。
▼公式サイト:小林秀雄賞 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
新潮ドキュメント賞
主催:一般財団法人新潮文芸振興会
ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与します。 選考の対象は、ノンフィクション作品(雑誌掲載も含む)です。
「三島由紀夫賞」「山本周五郎賞」「小林秀雄賞」とあわせて、新潮四賞。
▼公式サイト:新潮ドキュメント賞 | 新潮社 (shinchosha.co.jp)
講談社本田靖春ノンフィクション賞
主催:株式会社講談社
年度内(前年4月1日から本年3月末日)に刊行された単行本ならびに新聞、雑誌などに発表された作品と応募作品の中から、優れたノンフィクション作品を選び顕彰します。1979年に講談社ノンフィクション賞の名称で創設され、2019年度の第41回より、戦後を代表するノンフィクション作家のひとりである本田靖春氏の名を冠し改称しました。
▼公式サイト:講談社 本田靖春ノンフィクション賞 : 講談社 (kodansha.co.jp)
▼公式サイト:講談社 本田靖春ノンフィクション賞 | 現代ビジネス (gendai.media)
ミステリー小説を対象とする文学賞
日本推理作家協会賞
主催:一般社団法人日本推理作家協会
日本推理作家協会賞は、年に一度、優秀な長編小説・短編小説・評論を選び表彰するものです。
日本推理作家協会は、小説家・評論家・翻訳家・イラストレーター・装幀家・漫画家などの個人会員と、出版社を中心にした賛助会員で構成されます。
現在の日本推理作家協会は、ミステリに限らず、主にエンターティンメント文芸出版全般に関わる者の職能集団として位置付けられます。
以下の4部門があります。
- 長編および連作短編集部門
- 短編部門
- 評論・研究部門
- 翻訳部門(試行 ※2023年度)
▼公式サイト:「推理作家協会賞作品」の検索結果|日本推理作家協会 (mystery.or.jp)
日本SF大賞
主催:一般社団法人日本SF作家クラブ
日本SF大賞の設立は1980年です。日本SF作家クラブの会員が、SFを専門とする立場から、活字に限らず全メディアを対象として、各年度における最も優れた業績を選び出して顕彰します。
日本SF大賞は、日本SF作家クラブの総会で選ばれた選考委員による討議を経て決定します。日本SF作家クラブの構成員は、SF・ファンタジー作品を書く文筆家、画家、翻訳家、研究者、書評家、音楽家、演者など多岐にわたります。
▼公式サイト:日本SF大賞 | 日本SF作家クラブ公式Webサイト (sfwj.jp)
▼公式サイト:過去の日本SF大賞 – SFWJ
本格ミステリ大賞
本格ミステリ大賞は、本格ミステリ作家クラブの会員が、すべての候補作の5作品を読んだうえで、投票により決定します。予選会が行われ、予選委員が候補作5作を選びます。小説部門と評論・研究部門とがあります。
▼公式サイト:本格ミステリ作家クラブ (honkaku.com)
ミステリー小説のブック・ランキング
週刊文春ミステリーベスト10
週刊文春ミステリーベスト10は、年末に文藝春秋発行の『週刊文春』で発表されるブック・ランキングです。全国の日本推理作家協会会員およびミステリー作家、文芸評論家、書店員、翻訳家、各大学ミステリー研究会などへのアンケート結果を発表します。国内部門と海外部門があります。
▼公式サイト:年末のお楽しみ!「週刊文春ミステリーベスト10」発表 | ニュース – 本の話 (bunshun.jp)
このミステリーがすごい!
『このミステリーがすごい!』は、1988年から宝島社より発行されているミステリー小説のブック・ランキングです。国内部門と海外部門のベストテンを投票形式で選びます。
▼公式サイト:このミステリーがすごい! 2023年版│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル (tkj.jp)
本格ミステリ・ベスト10
『本格ミステリ・ベスト10』は、探偵小説研究会編著の本格ミステリ小説のブック・ランキングです。毎年12月に原書房より刊行されます。国内部門と海外部門があり、有識者の投票により決定します。
▼公式サイト:2023本格ミステリ・ベスト10 – 原書房 (harashobo.co.jp)
ミステリが読みたい!
『ミステリが読みたい!』は、年末に早川書房が発表するミステリ小説のブック・ランキングです。2007年に開始し、書評家、作家、翻訳家、書店員らが、海外作品・国内作品のベスト10を選出します。その結果を集計してランキングにします。11位以降も公開されます。
▼公式サイト:「ミステリが読みたい!2023年版」発表! (hayakawa-online.co.jp)
そのほか
本屋大賞
本屋大賞は、書店員の投票だけで選ばれる賞です。書店員有志で組織する本屋大賞実行委員会が運営しています。
本屋大賞には以下の3部門があります。
- 本屋大賞(日本の小説)
- 翻訳小説部門(日本で刊行された翻訳小説)
- 発掘部門(既刊本市場の活性化を狙ったもので、ジャンルを問わない)
▼公式サイト:本屋大賞とは | 本屋大賞 (hontai.or.jp)