小説

『水と礫』藤原無雨 物語を反復させながら広げていく章立て【書評】

この記事は約1分で読めます。

藤原無雨(ふじわら・むう)さんの小説『水と礫』は、第57回文藝賞受賞作。第34回三島由紀夫賞の候補作でもある。物語を反復させながら広げていく章立てが特徴的な作品であった。

藤原無雨さんは、1987年兵庫県姫路市生まれ。ライトノベルでのペンネームは、マライヤ・ムー。

この小説は、章立てに特徴がある。章の冒頭に「1」「2」「3」と数字が振られているのは普通だが、「3」の次が「4」にならず、再び「1」「2」「3」を繰り返す。数えてみたら、7回の反復。

本作は、クザーノというあだ名の人物の物語として始まり、クザーノを中心に、父母、祖父母、子、孫と話が広がっていく。登場人物の年齢を変えたり、フォーカスされる人物を代えたりしている。

歳を重ねていくなかでの心理の変化。一族の歴史。それらが丁寧に描写されており、小説としての面白さや言語感覚、書き手の語り口などが評価されたようだ。

水と礫/藤原無雨
出典:Amazon
タイトルとURLをコピーしました