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『放課後』東野圭吾 ‐ 囮トリックと犯行動機をどう読むべきか【書評】

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この記事では、東野圭吾さんの小説『放課後』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

放課後 東野圭吾・著

放課後(東野圭吾, 講談社文庫)の表紙
出典:Amazon

書誌情報

著者:東野圭吾
出版社:講談社
発売年月:単行本 1985年9月文庫本 1988年7月
ページ数:単行本 308ページ/文庫本 353ページ

紙書籍

囮トリックと犯行動機をどう読むべきか

推理小説『放課後』は、東野圭吾さんのデビュー作。

東野圭吾さんの『放課後』は、1985年の第31回江戸川乱歩賞を受賞した作品。
また1985年度の週刊文春ミステリーベスト10において1位を獲得した。

本作は、女子高を舞台にした学園ミステリーである。東野圭吾さんは、この作品で作家デビューを果たした。『放課後』は、東野圭吾さんのデビュー作として、1985年9月に講談社から単行本として刊行された。単行本で308ページ、文庫本で346ページの分量である。

東野圭吾さんは、江戸川乱歩賞への3回目の応募で受賞した。ちなみに、第30回で候補作となった「魔球」は、高校生投手が主人公の野球ミステリー。この作品は、1988年に講談社から単行本として刊行されている。

読み進めると、正当な推理小説といえる展開であるが、殺人の動機や結末は予想外だった。本来、殺人は決して許されないこと。動機を知ったときはとても意外であった。たとえ殺意が芽生えたとしても、殺人を犯してしまう動機としては、共感しづらい。

しかも犯人は、囮トリックまで考えて、周到に計画している。被害者に、殺されるような落ち度があるとは感じず、同情してしまう。

被害者よりも、犯人の大胆過ぎる行動のほうに非があるのでは、と犯人に対して言いたくなる。私は共学の高校を卒業した。殺人の話は別として、女子高にはそういう女の子がいるのだろうか。

また、犯人を突き止めた数学教師・前島の行動にも疑問が残る。ただ、あくまで娯楽小説としての話であるので、そこまで考える必要はないのかもしれない。面白い小説であることは確かだ。

いずれにしても、殺人の真相を知った教師の前島は、さぞかしショックを受けたことだろう。結末では、追い打ちをかけて、前島の身に事件が起こる。

途中までは、本格的な推理小説として、トリックを解くことと、犯人を特定することに集中していた。だが最後の方では、動機や新たな事件により頭がいっぱいになった。もちろん、推理小説としてのエンターテインメント性が高く、楽しく読める作品である。

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