この記事では、映画『ひまわり』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。
ひまわり
作品情報
原題:I girasoli
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
脚本:トニーノ・グエッラ, ゲオルギ・ムディバニ, チェザーレ・ザバッティーニ
出演者:ソフィア・ローレン, マルチェロ・マストロヤンニ, リュドミラ・サヴェリーエワ ほか
製作国:イタリア
製作年:1970年
1970年公開のイタリア映画、ウクライナの国花と撮影地秘話
映画『ひまわり』は、1970年(昭和45年)に公開されたイタリア映画で、ヴィットリオ・デ・シーカ監督による愛の名作。ソビエトの東部戦線に送られたイタリア人兵士、アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニさん)を探して、妻のジョバンナ(ソフィア・ローレンさん)が、冷戦下のソビエトに単身乗り込むという物語。
この映画『ひまわり』が、全国各地でリバイバル上映されている。
地平線に広がるひまわりの映像は、映画のハイライトのひとつになっている。撮影場所の詳細に関しては、旧ソ連時代ということもあり、情報が不明確だ。在ウクライナ日本国大使館のホームページには、「撮影現場はキエフから南へ500kmほど行ったヘルソン州と言われています」という記載があった。けれども、文末が「言われています」という表記であることら、確実な情報ではないようだ。それよりも、日本で販売されているビデオの説明に「モスクワのシェレメチェボ国際空港の近く」と書かれていることを否定したいようだ。
もっとも信憑性が高いのは、NHK鹿児島局ディレクターの情報。この方は、2021年7月までモスクワ支局に駐在しており、ロケ地を取材していた。それによると、「ウクライナ中部の都市ポルタワ近くにあるチェルニチー・ヤール村」とのこと。その村には、映画のシーンと同じようなひまわり畑が一面に広がっている。この村で生まれ育った方々からの証言も取れている。
なぜ撮影場所がはっきりしなかったのかは、「自国にとって不都合な歴史を覆い隠そうとしたソビエト指導部の思惑」が見え隠れするようだ。「歴史をねじ曲げ、捕虜の犠牲など存在しない」と主張したことが原因と考えられる。
イタリアが実際に東部戦線で派兵したのは、撮影場所と同じポルタワ州から現在のロシアにかかるエリア。「撮影場所が明らかになって遺族などが現地を訪れ、遺骨の返還などを求められる」などの事態が起これば、ソビエトにとって都合が悪かったのではという解説であった。
なお、在ウクライナ日本国大使館では「多くの観光客がウクライナに押しかけるのを当局が恐れたせいかもしれません」と、事実が捩じ曲げられた経緯を説明している。
▼参照:名作映画「ひまわり」に隠された”国家のうそ” | NHK
▼参照:在ウクライナ日本国大使館:エピソード集(日本語) (emb-japan.go.jp)