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『言語学 第2版』基本になる考え方を知るための入門書(風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健)【書評】

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この記事では、『言語学 第2版』というタイトルの本を紹介します。

言語学 第2版 風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健 著

言語学 第2版(東京大学出版会)
出典:Amazon

書誌情報

書名:言語学 第2版
著者:風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健
出版社:東京大学出版会
発売年月:単行本 2004年9月
ページ数:単行本 272ページ
Cコード:C3080(語学総記)

言語学の基本になる考え方を知るための入門書

『言語学 第2版』は、2004年9月に東京大学出版会より刊行された。本書は、言語学の基本になる考え方を知るための入門書であり、大学の教科書にも採用されている。筆者は、風間喜代三・上野善道・松村一登・町田健氏の4名。

序章と第6章「言語の変化」は風間氏、第1章「語の構造」と第5章「言語の多様性と類型論」は松村氏、第2章「文の構造」と第3章「語の意味」と第4章「文の意味」は町田氏、第7章「音の構造」は上野氏が担当した。

あとがきには次のようなことが書かれている。言語学の分野は数多いが、本書では基本を知るのに必要な知識と考え方を示した。変化の激しい時代の影響は、学問の世界も例外ではない。言語学の分野でも、新しい理論が提唱され、研究分野も多岐にわたっている。言語という身近な対象に、いまだに不可解なものがひそんでいる証拠であり、言語の研究も続く。本書第1版の出版は1993年の秋。新しい展開を反映するために、本書も改訂された。

第5章は「言語の多様性と類型論」についてだが、言語を研究する面白さや意味はこのあたりにあるような気がする。第5章は、現在の言語学の中心的な一部門として、大幅に改訂された。これに関連して、本書で取り上げられたすべての「語族・言語の解説」を巻末にもうけ、地図も添付されている。これを見ると、日本語はやはり孤立語とされていた。この場合、日本語と唯一の同系言語である琉球語は、日本語の1方言となる。アイヌ語に関しては、北東北から北海道、千島、カラフトで使われたいた言語であり、日常語としては使われていないが伝えようとする動きがあると記述されていた。

おそらく今では、日本語をアルタイ諸語と関連付けることは少ないのであろう。韓国語に関しても、確かによく似た文法的特徴が多いが、母音や子音の体系に関してはほとんど似ていない。ただし、韓国語の一部の方言には、日本語と非常によく似た高低アクセントがあるようだ。文の構造が似ていると言っても、日本語と同じSOV型の語順は、もっとも言語数が多く、世界の言語の約半数を占める。

本書で取り上げられているのは、世界の言語のほんの一部。地球上では、6000~7000の言語が使われているそうだ。1950年代には2000~3000と考えられていたのが、50年たらずのうちに2倍以上に増えたのは交通機関の発達などにより調査が進んだため。だが、実際はむしろ減り続けているという見方が支配的。

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