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『「うまい!」と言わせる文章の裏ワザ』石黒圭【書評】

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石黒圭氏の著書『「うまい!」と言わせる文章の裏ワザ』は、2014年5月に河出書房新社から刊行された。石黒氏は、『文章は接続詞で決まる』(光文社新書, 2008年)がロングセラーとなり、その後も文章上達についての書籍を執筆されてきた。本書『「うまい!」と言わせる文章の裏ワザ』もその内の一冊である。本書には読者が抱く願望をそのまま反映したようなタイトルが付けられた。

文章術の本に興味を持つ人は、多かれ少なかれ文章がうまくなりたいという願望があるのではないだろうか。本書は、その願望に対してストレートに応えている。こういったタイトルをつけると、軽率な印象を受けたり、信用できるのか疑問に思ったりするかもしない。しかし、石黒氏には日本語研究者という経歴がある。現役の日本語学者が、こういったタイトルでどのような事を書いているのか気になり、私は本書を購入した。

本書の特徴は、目次の内容を伝えればおおよそは想像がつくと思う。文章術を大きく5つに分けたうえで、33のルールが書かれていて、それら一つひとつが文章の裏ワザということになるだろう。文章術の5つのカテゴリーは「文法のルール」「文末のルール」「語彙のルール」「表記のルール」「構成のルール」。5つのカテゴリーも、ルール01からルール33までの見出しも、どれも文章術の本としては定番の事柄だ。だが、誰が書いたのかということに、本書の価値があるのだろう。書かれている内容が深く明確なため、納得しながら読めた。文章にはさまざまなパターンがあり得る。本書には、一つひとつのルールに対して、迷わずに済むような考え方やいくつかのポイント、重視すべき点などが示されていた。

そして各ルールには、オモテとウラがある。オモテは「初級者が中級者になるために必要な基礎となる定石」。ウラは「中級者が上級者、さらにはプロになるために必須の創造的な技術、定石を超える裏ワザ」である。

本書の「はじめに」には、文章の「定石」と「裏ワザ」を使いこなす、という見出しが付いている。「文章の書き方の本にはルールが書かれているのが普通であるが、ルールを超えたところに言葉の面白さがあり、裏ワザを知ることが、文章の上達のカギ」。このような考えで、石黒氏は本書を執筆されているようだ。

「はじめに」の中で著者の石黒氏は、囲碁の話を例にして、上級者になるには定石を乗り越え、自分の頭で考える力を持つことが必要である、と述べている。そして、定石を覚えたために成長の止まってしまった中級者が、上級者のレベルに達することを手助けするために本書を書いた、と。

「定石を覚えて二目弱くなり」という川柳があるそうで、これは定石を覚えることに終始すると、かえって勝負に負けてしまう、という意味。文章の書き方にも、当てはまるのかもしれない。

小説家や詩人、コピーライターなどにとって大切なのは創造性。プロのライターは、何をどう表現するかで生計を立てている。創造性は一般的な思い込みから自由になることによって生まれる。本書には33のルールがあり、オモテとウラがセットで入っている。オモテは定石で、ウラは超定石。

繰り返すが、オモテでは初心者が中級者になるために必要な定石を確認し、ウラで中級者が上級者、さらにプロになるために必須の創造的な技術が紹介されている。上級者やプロにとっては必須とのことなので、マスターしていることを願う。マスターしていなければ、この定石を超える隠れた裏ワザをマスターしなければならない。

「うまい!」と言わせる文章の裏ワザ/石黒圭
出典:Amazon
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