この記事では、夏井いつきさんの著書『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』について、その概略をご紹介します。
夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業 夏井いつき・著
書誌情報
書名:夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業
著者:夏井いつき
出版社:PHP研究所
発売年月:単行本 2018年7月/電子書籍 2018年7月
ページ数:192ページ
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まずは基礎をしっかりと
『夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業』は、俳句を始めようか迷っている人に対して、後押しをしてくれる本。巻末「おわりに」では、実際に俳句を始めたいと思っている人向きと書かれていた。たとえば歳時記を買う前の段階の人。
本書は、基礎中の基礎から丁寧に学べる入門書。出版社のPHP研究所の社員が生徒役となり、対話形式で書かれている。著者が仰っているように、本書に書かれている俳句の型を知れば、誰でも俳句を作れそうな気がする。
初心者は俳句を難しく考えない方がよい。五音か七音の普通名詞を思い浮かべ、それを描写し、あとは心情を季語に託すだけで俳句は成立する。本書に書かれている「尻から俳句」「十二音日記」から段階的に慣れていけばよい。
五音と七音の言葉を見つけるには、新聞や雑誌を広げたり、景色を眺めたり、買い物中に目に留まったものをつぶやいたりするだけでもよい。特別な感動や大きな出来事が必要というわけではない。日々の出来事が俳句のタネになる。退屈に感じていた日常を俳句として表現することで、毎日が面白くなり、辛い出来事に遭遇しても前向きになれるかもしれない。
実際に作った俳句がいい句なのか気になる時、チェックポイントは「季語の本意をつかむ」「意味の重複を確認する」「五感を複数入れる」の三つ。これは俳句の特徴を考えると、とても重要。
一つ目の「季語の本意をつかむ」ができていれば、取り合わせのフレーズにおいての不要な言葉、季語との意味の重なりをなくせる。二つ目の「意味の重複を確認する」は、一句の中における意味の重複について。季語を主役に十七音で作る俳句において、この二つは初心者にも必須。
そして、もう一段ステップアップするためには、「五感を複数入れる」ことを意識すればよい。季語を含めて、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の中から、複数の感覚を重複せずに入れると、句に奥行きが出る。ただし、「五感を複数入れる」は中級者のレベルになってからでよいとのこと。また、五感に第六感、連想を加えることもある。
初心者にとって基礎は大切。「五・七・五」のリズムは、日本人の耳に馴染みやすく、自然と身体の内側に響く。「定型」から外れた「字余り」や「字足らず」、「自由律」は上級者でも難しい技。「季重なり」「無季」もまたしかり。