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『文学の用語』野中涼 ‐ 200語について、具体例を添えて詳しく解説【書評】

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この記事では、野中涼氏の『文学の用語』について、その概要をご紹介します。

文学の用語 野中涼・著

文学の用語(野中涼, 松柏社)の表紙
出典:Amazon

書誌情報

書名:文学の用語
著者:野中涼
出版社:松柏社
発売年月:2015年9月
ページ数:467ページ
Cコード:C3590(文学総記)

200語について、具体例を添えて詳しく解説

野中涼氏の『文学の用語』は、2015年9月に松柏社より刊行された。文学用語200語を、ジャンル、レトリック、モチーフ、批評・研究の4グループにまとめ、具体的に分かりやすく解説している。

文学用語200語を、ジャンル、レトリック、モチーフ、批評・研究の4グループにまとめる、グループ分けは、とても理にかなっているといえよう。用語を調べるときに、探しやすく読みやすい。索引があり辞典としても使えるが、具体例を添えて詳しく解説しており読む辞典として楽しめる。

野中氏のご専門は、現代英米文学や比較文学であるが、この種の用語解説書はやはり野中氏のような経歴をお持ちの方が書かれることになるようだ。私は大学で日本文学を学んだが、文学を科学的に分析しようとする試みは、ヨーロッパのほうが盛んであり、用語に関しても近代以降にヨーロッパから持ち込まれている。現在においても、優れた文学用語辞典は欧米から出版されているようだ。

本書に関しては、日本人を対象にしているので、日本の文学作品を数多く取り上げていた。たとえば、「Ⅰ. ジャンル」のなかには「1. 詩について」があり、その中で和歌・短歌、俳句を取り上げている。同じく「Ⅰ. ジャンル」の「3. 演劇について」では、能、狂言、浄瑠璃、歌舞伎が取り上げられている。その他の「Ⅱ. レトリック」「Ⅲ. モチーフ」「Ⅳ. 批評・研究」においても同様だ。よって本書は、日本文学の創作、鑑賞、研究に役立つはずだ。

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