小説

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『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹 思考と無意識を彷徨う二重世界の物語

村上春樹さんの長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、第21回谷崎潤一郎賞受賞作。この小説は40章からなり、「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、「世界の終り」の章が交互に繰り返され、二つの物語はパラレルに進行する。
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『ゲルマニウムの夜』花村萬月――舞台は終戦後の東京都下の修道院

花村萬月さんの小説『ゲルマニウムの夜』は、第119回芥川賞受賞作。『ゲルマニウムの夜』はキリスト教の教義を軸にした作品。小説の舞台は、ラジオに米軍放送が流れてくる、東京都下の修道院。
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『パーク・ライフ』吉田修一 出会いは思いがけない場所で

吉田修一さんの小説『パーク・ライフ』は、第127回芥川賞受賞作。小説の舞台は、東京の日比谷公園。物語を語る主人公の「ぼく」は、主にバスソープや香水を扱う会社に勤め、広報兼営業を担当している。日比谷公園は、勤め先の近くであり、自宅からも近い。
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『花腐し』松浦寿輝 バブル崩壊から十年後の古い木造アパートの一室

松浦寿輝さんの小説『花腐し』は第123回芥川賞受賞作。舞台は、バブル崩壊が始まってから、十年ほど経った東京。
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『蒼氓』石川達三――社会派作家が見つめた移民の現実

石川達三氏の『蒼氓』は、1935年の第1回芥川賞受賞作。1930年、神戸の国立海外移民収容所を舞台に、900人以上の日本人がブラジル・サントスへ向かう長い船旅が始まる。移民たちの希望と苦悩を描いた、日本文学史に残る名作。
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『背高泡立草』古川真人――島の歴史とゆかりのある家族

古川真人さんの小説『背高泡立草』は、第162回芥川賞受賞作。本作には、9つの話があり、船着き場の話から始まり、帰路の話で終わる。この物語の本筋は、島にある納屋の周りの草刈りであるが、その他にも島の歴史についての話もある。
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『1R1分34秒』町屋良平――主人公の「ぼく」の人間性

町屋良平さんの小説『1R1分34秒』は、第160回芥川賞受賞作。主人公の「ぼく」は21歳のプロボクサー。C級ライセンスを取得し、四回戦の試合に出場している。パチンコ店員のアルバイトもしている。
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『ニムロッド』上田岳弘――謎のメールの展開と三人の関係

上田岳弘さんの小説『ニムロッド』は、第160回芥川賞受賞作。本作は、仮想通貨のビットコインなどを題材にして、情報化社会をどう生きるか、といったとことをテーマにしている。本作の主人公の名前は、ビットコインの創業者のサトシ・ナカモトと同姓同名である。
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『送り火』高橋弘希――苛めや暴力はなぜ起こるのか

高橋弘希さんの小説『送り火』は、第159回芥川賞受賞作。主人公は中学三年生の歩。父母と三人家族である。商社勤めの父は転勤が多く、今回は進級する春先に合わせて、東京から津軽地方の山間部へ引っ越してきた。
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『百年泥』石井遊佳――人生は不特定多数の人々の記憶の継ぎ合わせ

石井遊佳さんの小説『百年泥』は、第158回芥川賞受賞作。小説の舞台はインド、タミル・ナードゥ州チェンナイ市。著者が実際に暮らしている街だ。日本語教師の経験があるのも主人公と同じである。石井遊佳さんは、本作の着想を実体験から得た。
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