小説

『パーク・ライフ』吉田修一 ‐ 出会いは思いがけない場所で【書評】

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この記事では、吉田修一さんの小説『パーク・ライフ』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

パーク・ライフ 吉田修一・著

パーク・ライフ(吉田修一, 文春文庫)の表紙
出典:Amazon

書誌情報

書名:パーク・ライフ
著者:吉田修一
出版社:文藝春秋
発売年月:2002年8月(単行本)

出会いは思いがけない場所で

吉田修一さんの小説『パーク・ライフ』は、第127回芥川賞受賞作である。初出は文藝春秋の月刊文芸誌『文學界』の2002年6月号。
小説『パーク・ライフ』は、2002年8月に文藝春秋から単行本として刊行された。単行本には、『文學界』1999年8月号に掲載された『flower』も併録されている。分量は、『パーク・ライフ』が96ページで、『flower』が76ページ。
吉田修一さんは1968年生まれ。長崎県長崎市出身の作家である。

小説の舞台は、東京の日比谷公園。物語を語る主人公の「ぼく」は、主にバスソープや香水を扱う会社に勤め、広報兼営業を担当している。日比谷公園は、勤め先の近くであり、自宅からも近い。会社の休憩時間や外回りの途中、それから休日にも訪れる。ぼくの日々の生活にとって、重要な場所だ。

ある日、ぼくは日比谷線の電車の中で、ひどくぼんやりしていたせいもあり、下車した先輩社員がまだ背後にいると錯覚し、見知らぬ女性に声を掛けてしまった。しかし、彼女はとても気さくな女性だった。
ぼくは赤面し腋の下に汗が滲んだが、それ以上の恥をかくことはなかった。そして偶然、ぼくは日比谷公園で彼女と再会した。彼女もまた、この日比谷公園の利用者。しかも彼女は、ぼくのことを以前から何度も日比谷公園で見かけ、顔を知っていたと言う。

その後、二人は日比谷公園で話をするようになる。だが、遠慮し合っているのか、お互いに相手のことを詳しく聞こうとしない。日比谷公園には、多くの人々が訪れる。初対面の人と会話を交わすこともある。ぼくと彼女は、そういった関係から、ちょっとだけ進展してはいるが、それ以上の関係ではない。

ぼくは彼女から、一緒に写真展に行かないかと誘わる。その後の二人の関係には、進展があったのだろうか。小説を読み終わったあと、その事が気になってしまう。この小説には、二人が出会った経緯や、距離を縮めていく様子、それから主人公の「ぼく」の周りで起こるさまざまな出来事が描かれている。

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