小説

村上春樹さんの作家デビューと初期の長編小説

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村上春樹氏は自らを長編小説家として位置付けている。
村上春樹氏の著作は、小説のほか随筆、紀行文、ノンフィクション、翻訳など多岐に渡っている。
小説に関しては、短編や中編の小説を実験の場とし、得られたものを長編小説に持ち込んでいるそうだ。
例えば、1987年発売の『ノルウェイの森』(講談社)の第2章と第3章は、短編小説『螢』(「中央公論」1983年1月号掲載)を下敷きにしている。

1979年発表の村上春樹氏の作家デビュー作『風の歌を聴け』(講談社)には、デレク・ハートフィールド(Derek Heartfield )という架空の人物が登場する。1909年生まれで1938年没という設定である。主人公の「僕」は、デレク・ハートフィールドを最も影響を受けた作家として紹介している。ヘミングウェイやフィッツジェラルドと共に作中に名前が挙げられ、細かい設定がなされているが、あくまでも架空の人物である。
『風の歌を聴け』は、村上春樹氏のデビュー作であり、その後も作風の似た作品を発表している。そういった意味で、村上春樹氏の原点となる小説と言えるだろう。村上春樹氏は、この作品で、1979年の第22回群像新人文学賞を受けた。第81回芥川賞の候補になったが、受賞はしていない。第1回野間文芸新人賞の候補にもなった。これは村上春樹氏が30歳のときの話だ。

村上春樹氏は、1979年に『風の歌を聴け』で作家デビューを果たし、翌年の1980年に『1973年のピンボール』(講談社)、1982年に『羊をめぐる冒険』(講談社)を発表した。これら3作品は、村上春樹氏の初期三部作と呼ばれている。主人公の友人である鼠という人物が、3作品に登場するので、鼠三部作とも。また、主人公が20代のときの物語であり、友人やガール・フレンドとのことが書かれているので、青春三部作とも。
『1973年のピンボール』は、第83回芥川龍之介賞候補および第2回野間文芸新人賞候補となった。
『羊をめぐる冒険』は、第4回野間文芸新人賞を受けた。

村上春樹氏は、この頃、ジャズ喫茶を経営していたが、1981年に専業作家となることを決意。同年に翻訳書も刊行している。翻訳したのは、アメリカの小説家、故F・スコット・フィッツジェラルド氏の作品。

村上春樹氏は、その後、1985年に『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(新潮社)、1987年に『ノルウェイの森』を発表した。『ノルウェイの森』は上下二分冊による刊行。
村上春樹氏は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』で第21回谷崎潤一郎賞を受けた。
『ノルウェイの森』は、村上春樹氏の5作品目の長編小説である。『ノルウェイの森』はベストセラーとなり、村上春樹ブームのきっかけとなった。

そして1988年に『ダンス・ダンス・ダンス』(講談社)が、上下二分冊で刊行された。
この作品の主人公は、初期三部作と同一人物である。ただし鼠は登場しない。
青春三部作の続編であり、四部作の一作としても扱われる。
『ダンス・ダンス・ダンス』は、初期三部作の3作品目『羊をめぐる冒険』の発表から6年が経過してから刊行された。

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