小説

『ほかならぬ人へ』白石一文 ‐ 若い男女の恋愛感情と葛藤【書評】

白石一文さんの中篇小説集 『ほかならぬ人へ』は、第142回直木賞を受賞した、中編二作の作品集である。二作品とも、結婚適齢期の男女の、恋愛や葛藤などが、リアルな描写で描かれている。
小説

『マチネの終わりに』平野啓一郎 ‐ 大人の切ない恋物語【書評】

平野啓一郎さんの小説『マチネの終わりに』は、魅力溢れる二人の恋物語である。世界的なクラシック・ギタリストの蒔野聡史と、国際舞台で活躍するジャーナリスト・小峰洋子。世界で活躍できるような、特別な二人の恋物語であるが、心を打たれる作品であった。
小説

『乳と卵』川上未映子 ‐ 大阪出身の女性三人が織りなす物語【書評】

川上未映子さんの小説『乳と卵』は、第138回芥川賞受賞作。独特な大阪弁の文体で書かれており、それが小説としての面白さにもなっている。会話文にも地の文にもその傾向がある。
小説

『時計館の殺人』綾辻行人 ‐ 悲しみの連鎖が憎しみの連鎖となり惨劇を生む【書評】

綾辻行人さんの小説『時計館の殺人』。シリーズ第5作は想像を超える大仕掛けであった。分量は400字詰め原稿用紙で900枚超の長さ。本作は、第45回日本推理作家協会賞受賞作。
映画・ドラマ

『岸辺の旅』生と死をテーマに夫婦の絆をストレートに表現【映画評】

映画『岸辺の旅』は、夫婦の絆や人々との関わりを描いたヒューマンドラマ。あるいは、夫婦の愛を描く、大人のラブストーリー。死者との旅ではあるが、切なく淡々と物語は進む。ホラーやミステリーの要素の強い作品ではない。
小説

『笑顔と筋肉ロボット』山崎ナオコーラ ‐ 科学技術の進歩のおかげで性差は縮まる!?【書評】

山崎ナオコーラさんの短編小説『笑顔と筋肉ロボット』の初出は、月刊誌『すばる』2020年11月号。テーマはジェンダー。男性も女性も共感し、楽しめる作品だと思う。とくに物語の後半では、夫婦の会話に深みを感じたし、ユーモアのセンスにも感心した。
小説

『おもろい以外いらんねん』大前粟生 ‐ 笑いと差別をテーマにした中編小説【書評】

大前粟生さんの中編小説『おもろい以外いらんねん』は、笑いと差別をテーマにと依頼され、書き上げた作品とのこと。「2020年のコロナ下、リアルタイムで現実でも起きているようなことをフィクションに」と言われたそうだ。
小説

『水と礫』藤原無雨 ‐ 物語を反復させながら広げていく章立て【書評】

藤原無雨さんの小説『水と礫』は、第57回文藝賞受賞作。この小説は、章立てに特徴がある。歳を重ねていくなかでの心理の変化。一族の歴史。それらが丁寧に描写されており、小説としての面白さや言語感覚、書き手の語り口などが評価されたようだ。
映画・ドラマ

『天気の子』神秘的で叙情的な物語に感動【アニメ評】

新海誠監督のアニメ映画『天気の子』は、神秘的で叙情的な物語。純粋で逞しい15歳の少年と少女の恋物語に心温まる。リアルな背景美術を目にした時点で、作品に引き込まれた。美しい映像や音楽は、神秘的な物語をより感動的にする。
評論・随筆・その他

『猫を棄てる 父親について語るとき』村上春樹 ‐ 自身のルーツ【書評】

村上春樹さんの『猫を棄てる 父親について語るとき』。亡き父親の戦争体験や父親との思い出、自身のルーツについて綴ったエッセイ。世界を作り上げる大きな物語の、ごく微小な一部について。
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