直木三十五賞は、新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本のなかで、長編小説もしくは短編集や中編集が対象。文藝春秋社社長の菊池寛氏が友人の直木三十五氏の業績を記念して1935年に創設。年2回発表される。
『破門』黒川博行 ‐ 小説ならではの価値を見いだせる作品【書評】
黒川博行さんの『破門』は、2014年1月にKADOKAWAより刊行された第151回直木賞受賞作。ハードボイルド作品疫病神シリーズの第5作で、ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮が、失踪した映画プロデューサーを追う。
『塞王の楯』今村翔吾 ‐ 戦乱の世を石垣職人と鉄砲職人の目線から【書評】
今村翔吾さんの小説『塞王の楯』は、第166回直木賞受賞作。クライマックスは、関ヶ原の戦いの前哨戦ともいえる大津城の戦い。城主の京極高次は、籠城し西軍を迎え撃つことを決意。この戦いを石垣職人と鉄砲職人の対決を中心に描く。
『黒牢城』米澤穂信 ‐ 有岡城内で起きた不可解な事件の謎を土牢の官兵衛が解く【書評】
米澤穂信さんの小説『黒牢城』は、2021年6月に角川書店より刊行された歴史ミステリー。第166回直木賞を受賞し、4大ミステリランキングにおいてすべて1位に輝く。有岡城内で起きた不可解な事件の謎を土牢の官兵衛が解く。
『星落ちて、なお』澤田瞳子 ‐ ひとりの女性の一代記【書評】
澤田瞳子さんの小説『星落ちて、なお』は、第165回直木賞受賞作。『別冊文藝春秋』に掲載された連載小説が、単行本化され直木賞を受賞した。明治から大正の、東京を舞台に、実在した女絵師をモデルにし、彼女の人生を一代記として書いている。
『少年と犬』馳星周 ‐ 素直に感動できるストーリー【書評】
馳星周さんの『少年と犬』は、第163回直木賞受賞作である。連作短編として、娯楽小説誌『オール讀物』に掲載された6話からなる。多聞と名付けられた犬の旅が、ひとつの物語として完結する。
『テスカトリポカ』佐藤究 ‐ アステカ神話を現代に重ねるクライムノベル【書評】
佐藤究さんの長編小説『テスカトリポカ』は、直木三十五賞と山本周五郎賞をW受賞した作品。これは17年ぶり史上2度目の快挙である。壮大な物語を完成させるために、相当の資料を読み込み、言葉で描写することに妥協しなかったことが窺える。
『ホテルローヤル』桜木紫乃 ‐ 父親がかつて経営し実在した施設【書評】
桜木紫乃さんの連作短編集『ホテルローヤル』は、第149回直木賞受賞作。世間の常識から外れていたり、官能的だったりしますが、ほのぼのとした場面も多く、心温まる話もあります。
『銀河鉄道の父』門井慶喜 ‐ 父子の情、家族愛【書評】
門井慶喜さんの長編小説『銀河鉄道の父』は、第158回直木賞受賞作です。宮沢賢治の生涯や家族についての物語が、賢治の父・宮沢政次郎の視線を通して描かれています。家族のぬくもりや父と息子の関係を描いた物語です。
『ファーストラヴ』島本理生 ‐ 普通の初恋ではない、歪められた記憶【書評】
島本理生さんの長編小説『ファーストラヴ』は、第159回直木賞(2018年上半期)受賞作です。普通の初恋ではない、歪められた記憶。女性や弱者に対する社会の理不尽さに目を向けさせる小説でした。
『鍵のない夢を見る』辻村深月 ‐ 町の事件をテーマにした5篇【書評】
辻村深月さんの短篇小説集『鍵のない夢を見る』は、第147回直木賞(2012年上半期)受賞作です。 町の事件を扱う5篇が収録されています。結論を出してしまわずに、読者に委ねる書き方を意識したとのこと。