『黒牢城』米澤穂信 ‐ 有岡城内で起きた不可解な事件の謎を土牢の官兵衛が解く【書評】

この記事では、米澤穂信さんの小説『黒牢城』を紹介します。

黒牢城　米澤穂信・著

書誌情報

書名：黒牢城
著者：米澤穂信
出版社：KADOKAWA
出版年月：単行本 2021年6月／文庫本 2024年6月／電子書籍 2024年6月
ページ数：単行本 448ページ／文庫本 528ページ

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有岡城内で起きた不可解な事件の謎を土牢の官兵衛が解く

米澤穂信さんの『黒牢城』（こくろうじょう）は、2021年6月に角川書店より刊行された歴史ミステリー小説。第166回直木賞を受賞したほか、４大ミステリランキングすべてで第1位を獲得しています。第12回山田風太郎賞を含めると５冠達成の快挙。

４大ミステリランキングとは、下記の各賞のこと。

荒木村重による織田信長への謀反。村重は有岡城に籠城し、約定を交わした毛利の援軍を待つ。信長は、有岡城を包囲しながら、使者を送る。羽柴秀吉の命により黒田官兵衛は村重の説得を試みるが、土牢へ閉じ込められてしまう。この一連の史実が本書の下敷きになっている。

官兵衛が土牢に入れられている間に、有岡城で不可解な事件が起きた。村重は、城内をまとめるためにも事件を解明しなければならない。囚人として扱っている官兵衛ではあるが、知恵を得られないかという望みを抱いた村重は、ひとり土牢の官兵衛のところに赴く。

本作は歴史小説としても、ミステリー小説としても楽しめる作品であった。村重と官兵衛の語らいとその後、有岡城内の様子や人々の心のうちが細やかに描写され、城内で起きた不可解な事件の謎が解かれてゆく。