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『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』山﨑圭一【書評】

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この記事では、山﨑圭一さんの著書『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』を紹介します。

一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書 山﨑圭一・著

日本史の教科書/山崎圭一
出典:Amazon

書誌情報

書名:一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書 ―― 公立高校教師YouTuberが書いた
著者:山﨑圭一
出版社:SBクリエイティブ
発売年月:単行本 2019年9月/電子書籍 2019年9月
ページ数:単行本 352ページ
Cコード:C0021(日本歴史)

全体のストーリーを掴むために政治史を中心に

日本史は、全体のストーリーを掴むために政治史を中心に据えるとよい。

本書の著者である山﨑圭一さんは、現役公立高校教師として、YouTubeに日本史や世界史や地理など社会科目の授業動画を公開し話題になった方です。現役公立高校教師が、大学受験を目指す高校生ら、それもどちらかというと歴史が苦手な生徒に向けて書いているという印象を受けました。
けれども、社会人の学び直しや教養として読んでも面白い本です。私は大学入試のセンター試験で日本史を選択しましたので、小学生から高校生までは繰り返し日本史の勉強をしてきました。かつて受験科目であったというだけでなく、日本史への関心があるので、楽しく読むことができました。

本書は、2019年に刊行された本です。私が日本史の勉強をしていた頃から、史学の研究は進み、学会では新しい研究成果が発表され、討論議論されてきたはずです。専門書を読むつもりはありませんでしたので、一般向けの通史として基本を押さえている本を探していたら、本書に辿り着きました。
本書の著者は、現役公立高校教師です。近年の情報を含めての学び直しができ、基本的な事柄を正しく書いているのではと思い、『一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』(SBクリエイティブ, 2019年9月)と『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』(SBクリエイティブ, 2018年8月)の2冊を購入しました。

私の学生時代は、人名や年号、出来事などを暗記しなければ、成績は上がりませんでしたので、教科書に書かれていることや授業で教わったことをひたすら覚えることに努めました。社会人になってからは、折角、学生の頃に暗記した知識であっても、時が経つと歴史学者の議論により修正されることを知りました。
そのため、もっと活かされる教養として知識を習得しておくべきだと、自覚するようになりました。歴史というのは暗記科目にするべきではないのかもしれません。
その点、年号を使わずに「人」を数珠つなぎにして日本史を学ぶ、筆者の手法はとても分かりやすく面白いと感じました。この場合の人は、天皇・将軍・内閣総理大臣などの政権担当者です。本書は、古代から現代までの政権担当者を主役にしてひとつの物語としてつないでいます。そうすることで小説を読むように一気に読めます。時代の大きな流れを掴んでいれば、細かい年号や登場人物、出来事なども理解しやすくなります。

本書では、歴史の一般的な教科書ではほぼ必須であった、年号や西暦を使っていません。「寛政の改革」や「明治時代」などのように用語の一部になっているものを除き、年号や西暦のような、年代を示す表現は使われていません。
山﨑圭一さんは、子どもの頃に読んだ昔話などを覚えているのは、日時や年号を使わずに、数珠つなぎにされたシンプルなストーリーだからと、仰っています。そして年号を用いないと、事件や人物の関係性、つながり、因果関係がより際立ってくるのです。これまでも通史というものはありましたが、歴史の本で年号を用いない本はなかったのではと思います。
ただし、できる限り平易な記述を意識し、シンプルなストーリーにすることを徹底したため、経済・社会などを中心に多くの用語が割愛されています。また、文化史に関しては巻末にまとめて記すことになりました。

山﨑圭一さんは、日本史が苦手になるのは、全体のストーリーが頭に入っていないからと、仰っています。日本史でも世界史でも、最初に全体の流れを頭に入れておくことが大切です。
世界史は高校から本格的に習いますが、日本史は小学校から繰り返し習っています。それでも全体のストーリーを掴めず、日本史を苦手にしている生徒がいます。この理由として山﨑圭一さんは、中学校の歴史分野と高等学校の日本史の教科書のギャップにあるではないかと、考えています。
簡単に言えば、中学校の教科書は簡潔すぎ、高校の教科書は細かすぎとのことです。もちろん中学校で全体を把握し、高校で詳細について学ぶという見方もできます。
けれども、中学校の教科書は、時代をつなぐストーリーについての詳細な記述がなく、話が飛び飛びなっています。本来、歴史にはつながりがあります。また中学校の教科書では、世界史の情報が日本史の中に唐突に挿入されていることもあります。中学校での学習における都合がありやむを得ないのかもしれませんが、そのような状況で高校に進学するのです。
そして高校の教科書の問題点としては、脱線が多すぎることを挙げています。一般的な高校日本史の教科書は、「経済」と「社会」の解説の比重が大きく、「政治」「文化」「宗教」などがそれに加わります。その際、時間が行ったり来たりするので、タテの流れ、つまり各時代の時間経過が理解しづらいのです。
タテの流れで最も重要なのは、政治史の流れです。ゆえに全体のストーリーを掴むためには、政治史を中心に据えたほうがよいのです。本書では、それを徹底的に行っています。

山﨑圭一さんは、天皇や将軍、内閣総理大臣など「政権担当者」をストーリーの主役にして、古代から現代まで時間軸を一直線にして解説するという手法で授業を展開しているとのこと(本書より引用)。
教科書では、「経済」と「社会」の解説の比重が大きくても、政権担当者を主役にし、「経済」や「社会」などを紐づけながら一直線に解説するのが、山﨑圭一さん流の日本史の授業。そしてYouTubeでの世界史や日本史の授業動画の公開が話題となり、本書の執筆に至ったのです。

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