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『国境の南、太陽の西』村上春樹 ‐ 幸せなはずの「僕」が満たされない理由【書評】

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この記事では、村上春樹さんの小説『国境の南、太陽の西』について、そのテーマや登場人物、物語の魅力をさまざまな角度から掘り下げていきます。

国境の南、太陽の西 村上春樹・著

国境の南、太陽の西(村上春樹, 講談社文庫)の表紙
出典:Amazon

書誌情報

書名:国境の南、太陽の西
著者:村上春樹
出版社:講談社
発売年月:単行本 1992年10月/文庫本 1995年10月
ページ数:単行本 296ページ/文庫本 302ページ

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幸せなはずの「僕」が満たされない理由

『国境の南、太陽の西』は、村上春樹さんの7作目の長篇小説。1992年に講談社から刊行された。単行本のページ数は294ページ。章分けされており、1から15までナンバリングしてある。

主人公は始(はじめ)という名前の男性で、物語は「僕」という一人称単数で語られる。
子供の頃の話から始まり、思春期の出来事、大学での四年間、社会人になってからの出来事、結婚、バーの経営と順番に語られてゆく。

村上春樹さんの小説はシュールな作品が多いが、本作では日常生活に視点をおいている。話の中心は、小学生の時の初恋の相手、高校時代にひどく傷つけてしまったガール・フレンド、初体験の相手、そして妻といった女性たちとのこと。
「僕」が親しくなった女性は素敵な女性ばかりだが、「僕」が特に魅了されたのは12歳のときに親しくなった島本さんのようだ。島本さんとは、36歳のときに再会する。島本さんには謎めいた魅力があり、「僕」は高まる気持ちを抑えることができない。
タイトルになっている「国境の南」は島本さんとの思い出の曲であり、「太陽の西」は島本さんが「僕」との会話の中で話した言葉。

本作では「僕」と女性たちとの洒落た会話を楽しむことができる。切迫した場面では緊張感が漂う。付き合った女性たちとのことが中心の物語だが、衝撃的な出来事が多い。話の展開が気になり、ページを繰り続けた。途中、さまざまな出来事があるが、幸い「僕」の妻、有紀子が寛大であったため、「僕」は救われる。

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