境界線の上で
ふと立ち止まる
まだ起きていないことが
夜の端で息をしている
誰かが問い誰かが答える
その言葉はいつしか
遠い海の気配になる
もし船がこちらへ向かうなら
それだけの言葉が
見えない地図を濡らす
選ぶことは針と糸を持つこと
まだ見えない布を
縫い合わせていくこと
縫い目にはきっと
迷った指の跡がある
呼ばれ方はいつも
あとからついてくる
真ん中は中心ではない
風の通る裂け目だ
ラベルを剥がせば
土の匂いが残る
正しさを語る指は
誰かの傷に触れている
だからわたしたちは
灯りを持ち歩く
失われた道を燃やさず
足元を確かめるため
家電の裏の文字
布の肌の違い
遠い国の工場の灯りが
部屋の静けさへ紛れ込む
世界はときどき
こちらへ身を寄せる
手のひらには今日
選んだものが乗っている
迷いは
道を失った証ではない
歩こうとした証
人は揺らぎながら
見えない日々を縫っていく
詩|見えない未来を縫う
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