文学

小説

『コンジュジ』木崎みつ子 ‐ 現実と妄想と伝記の三つが絡み合う【書評】

木崎みつ子さんの小説『コンジュジ』は、第44回すばる文学賞受賞作。主人公の名前は「せれな」。冒頭には、11歳の少女・せれながイギリス人のロックスター・リアンに恋をしたことが書かれている。せれなは31歳になっている。
小説

『一人称単数』村上春樹 ‐ 過去を振り返るように語る主人公【書評】

村上春樹さんの短編小説集『一人称単数』の刊行は2020年。短編集は文章の名手と言われるような老練な作家が書くもの、という意見を聞くことがあります。『一人称単数』は正にそういった作品といえるでしょう。
小説

『海辺のカフカ』村上春樹 ‐ 15歳の少年が主人公の幻想的な物語【書評】

村上春樹さんの小説『海辺のカフカ』は、書き下ろしの長編。村上春樹さんの長編小説としては、10作目となる。上下巻二分冊で刊行された。『海辺のカフカ』は、15歳の少年が家出を決意するところから始まる。
小説

『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹 ‐ 夫婦の感情のもつれ、戦前の満州国【書評】

『ねじまき鳥クロニクル』は、村上春樹さんの8作目の長編小説。「第1部 泥棒かささぎ編」「第2部 予言する鳥編」「第3部 鳥刺し男編」の3巻から成る。第47回(1995年)読売文学賞<小説賞>受賞作。
小説

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹【書評】 

村上春樹さんの長編小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は、第21回谷崎潤一郎賞受賞作。この小説は40章からなり、「ハードボイルド・ワンダーランド」の章と、「世界の終り」の章が交互に繰り返され、二つの物語はパラレルに進行する。
小説

大江健三郎さんが初期に書いた短編小説

大江健三郎さんは、在学時から多くの短編小説を主要な文芸雑誌に発表している。初期の短編小説は、短編集『死者の奢り・飼育』や『見るまえに跳べ』などで読むことができる。
小説

『ゲルマニウムの夜』花村萬月 ‐ 舞台は終戦後の東京都下の修道院【書評】

花村萬月さんの小説『ゲルマニウムの夜』は、第119回芥川賞受賞作。『ゲルマニウムの夜』はキリスト教の教義を軸にした作品。小説の舞台は、ラジオに米軍放送が流れてくる、東京都下の修道院。
小説

『パーク・ライフ』吉田修一 ‐ 出会いは思いがけない場所で【書評】

吉田修一さんの小説『パーク・ライフ』は、第127回芥川賞受賞作。小説の舞台は、東京の日比谷公園。物語を語る主人公の「ぼく」は、主にバスソープや香水を扱う会社に勤め、広報兼営業を担当している。日比谷公園は、勤め先の近くであり、自宅からも近い。
小説

『花腐し』松浦寿輝 ‐ バブル崩壊から十年後の古い木造アパートの一室【書評】

松浦寿輝さんの小説『花腐し』は第123回芥川賞受賞作。舞台は、バブル崩壊が始まってから、十年ほど経った東京。
小説

『蒼氓』石川達三 ‐ 社会派作家の視線は民衆に向けられていた【書評】

故石川達三さんの小説『蒼氓』は、1935年の第1回芥川賞受賞作である。作品の冒頭は、1930年、神戸の国立海外移民収容所。これから900人以上の移民希望者が、ひと月半かけて、ブラジルのサンパウロ州にある港湾都市、サントスへ向かう。
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