小説 『JR上野駅公園口』柳美里 ‐ 一人のホームレスの視点から日本を見つめ直す【書評】 柳美里さんの小説『JR上野駅公園口』は、2014年3月に河出書房新社より刊行された。成りたくてホームレスに成る者はいないだろうが、不運に遭ったり人生を踏み違えたりしたら……という感覚で読むと、物語の世界に深く入り込めるかもしれない。 2022.08.07 小説
小説 『嘔吐』J-P・サルトル ‐ 20世紀十大小説の一つ【書評】 『嘔吐』は1938年3月、サルトル氏が三十三歳のとき、フランスのガリマール書店から刊行された。日本では、白井浩司氏の訳と、鈴木道彦氏による新訳が、いずれも人文書院から刊行されている。 2022.07.26 小説
小説 『日本の一文 30選』中村明 ‐ 近現代の一流作家30人の作品から【書評】 中村明氏の『日本の一文 30選』は、2016年9月に岩波新書より刊行された。各節の冒頭には、近現代の一流作家30名の作品のなかから抽出した一文が、見出しとして掲げられている。それら一文を中心テーマとして、多様な話題にふれている。 2022.07.09 小説
小説 『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ ‐ 声なき声に耳を傾け、受け止める【書評】 町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』は、中央公論新社から2020年4月に刊行されました。印象的な「52ヘルツの鯨」の実話。さまざまな社会問題で苦しんでいる人々の、声なき声。世の中をもっと真剣に考えるきっかけになりそうな一冊です。 2022.05.23 小説
小説 『アンソーシャル ディスタンス』金原ひとみ ‐ 2、30代の男女の閉塞感や恋愛【書評】 金原ひとみさんの『アンソーシャル ディスタンス』には、5編の短編小説が収められています。いずれの作品も初出は「新潮」。本書は第57回谷崎潤一郎賞受賞作。テーマは恋愛と性と命について。あるいは閉塞感や死生観といったもの。内容は少し過激。 2022.03.15 小説
小説 『たかが殺人じゃないか』辻真先 ‐ 二つの不可解な事件の解明と動機【書評】 辻真先さんの『たかが殺人じゃないか』では、密室殺人と解体殺人が起きる。冒頭から結末までにわたる伏線の張り方にユーモアがあり面白い。物語の3分の2あたりまでにトリックを解明し犯人の目星をつけ、残りの3分の1で動機を推測するという構成であった。 2022.03.09 小説
小説 『夢幻花』東野圭吾 ‐ 新しい科学情報や時代背景を取り入れての刊行【書評】 東野圭吾さんの『夢幻花』は、PHP研究所から2013年に刊行された。初出は月刊誌『歴史街道』で、2002年7月号から2004年6月号までの連載。新しい科学情報や時代背景を取り入れるために、全面的に書き直したうえでの単行本刊行であった。 2022.02.28 小説
小説 『流浪の月』凪良ゆう ‐ 世間からは理解してもらえない二人の関係性【書評】 凪良ゆうさんの『流浪の月』は、東京創元社より2019年8月に刊行された。2020年本屋大賞受賞作。主人公は更紗と文のふたり。ふたりの関係性が、本作のテーマになっている。世間からは理解されないふたりの出会いと15年後の再会。だがふたりは絆を確かめ合う。 2022.02.23 小説
小説 『珠玉の短編』山田詠美 ‐ ユーモラスで深みのある11編【書評】 山田詠美さんの短編集『珠玉の短編』は2016年に講談社より刊行された。全11編を収録。性愛についての話が多い。それから苛めについて。変化に富んだ文体、ユーモラスな語り口などが印象的。川端康成文学賞の「生鮮てるてる坊主」は、少しシリアスに展開。 2022.02.15 小説
小説 『希望の糸』東野圭吾 ‐ 悲しくぞっとする殺人事件の経緯【書評】 東野圭吾さんの小説『希望の糸』は、2019年7月に講談社から刊行された書き下ろし長編で、「家族」をテーマにした物語。本作は、加賀恭一郎シリーズに登場する松宮脩平刑事が主人公のスピンオフ作品である。松宮刑事は、加賀恭一郎の従弟。 2022.01.19 小説